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ソフトバンクがレーザーによる3 次元測量技術による飛行シミュレーションや、長時間飛行可能なドローンの技術検証を実施

ソフトバンク株式会社は、長時間かつ広範囲での安心・安全なドローンの運用の実現に向けて、3 次元測量が可能なドローン向けのレーザースキャナーや、ハイブリッドドローン(ガソリンエンジンで発電した電力をバッテリーに蓄電し、それを動力として飛行するドローン)などの開発・販売を行う株式会社 amuse oneself(アミューズワンセルフ)と技術提携したことを、2022年5月25日(水)に発表しました。

ソフトバンクは、アミューズワンセルフのレーザースキャナーを用いた測量により、高精度な 3 次元地図を作成し、ドローンの目視外飛行のシミュレーションなどに活用する技術検証を開始するとしています。また、6 時間以上の長時間飛行が可能なアミューズワンセルフのハイブリッドドローンを、2022 年秋ごろをめどに、ソフトバンクが提供するドローン機器から各種アプリケーション・サポートまでをワンパッケージにしたサービス「SoraSolution(ソラソリューション)」のラインアップとして追加する予定です。

ソフトバンク・アミューズワンセルフの技術提携概要

(1)レーザー技術による3次元測量
アミューズワンセルフは、高密度な点群データの取得が可能なグリーンレーザー技術を持っており、この技術を活用したドローン向けのレーザースキャナー「TDOT 3 GREEN(ティードット・スリー・グリーン)」を提供しています。「TDOT 3 GREEN」は、発射レート60,000Hz/sのレーザーを照射することができるため、ドローンに搭載することで、広範囲にわたって高密度な点群データを取得して3次元測量を行うことが可能です。さらに、水に吸収されにくい特性を持ったグリーンレーザーを採用しているため、近赤外線では測量が困難だった、雨にぬれた地面や水中の地形(水深数メートル程度)でも、正確な点群データを取得することができます。この点群データを基に高精度な3次元地図を作成することで、上空のLTE環境のシミュレーションや、ドローンの目視外飛行のシミュレーションなどに活用することができます。

(2)長時間飛行ドローン
アミューズワンセルフは、ドローン単体で6時間以上、レーザースキャナー搭載時でも2時間以上という長時間の飛行が可能なハイブリッドドローン「GLOW.H(グロウ・ドット・エイチ)」を提供しています。従来、点検などに使用されているドローンは、飛行可能時間が30分程度であることが一般的でしたが、「GLOW.H」は一度の飛行で長時間かつ広範囲を点検できるため、河川や港湾、砂防、線路、森林といった広域の点検の効率化が期待されています。

<「GLOW.H」の主な仕様>
名称:GLOW.H(グロウ・ドット・エイチ)
サイズ:対角寸法900×900mm、高さ530mm
駆動方式:ハイブリッド(エクステンダーによるバッテリー常時給電)
ペイロード(最大積載重量):3kg
飛行可能時間:(積載物なし)6時間以上/(「TDOT 3 GREEN」搭載時)2時間以上
対応通信方式:2.4GHz帯の無線通信、LTE、衛星通信(オプション)
対応GNSS:GPS、GLONASS、Galileo、QZSS(みちびき)、BeiDou
製造国:日本

ワンストップのドローンサービスと、高精度測位サービスで様々な場面でのドローン運用を支援

昨今、労働人口の減少が深刻な課題となる中で、インフラ点検や物流、防災などの分野において、ドローンの活用による省人化や業務の効率化が期待されています。今後、規制緩和によって有人地帯における補助者なしの目視外飛行(レベル 4)が可能になることで、さらに広範囲なエリアや用途でドローンの活用が加速すると考えられています。

そうした状況下において、ソフトバンクは導入から運用までのワンストップドローンサービス「SoraSolution」や、ドローンの飛行制御にも活用できる高精度測位サービス「ichimill」を様々な場面で提供しています。

「SoraSolution」は、操縦者の技術に依存せず「誰でも」「簡単に」ドローンを活用することができるよう、ドローンや操縦・管理用のアプリケーション、導入・運用サポートなどをワンストップで提供するサービスです。導入前のサポートからドローン機器の手配、飛行の申請、取得したデータのAI自動分析やレポート管理まで支援。導入することで、ドローンを活用した線路、鉄塔、ビルなどの高所および建設現場での点検の効率化や確認作業の代替が可能になり、幅広い業界・業種で業務効率の向上が図れるとしています。

ichimill(イチミル)は、準天頂衛星「みちびき」などのGNSS(Global Navigation Satellite System=衛星測位システム)から受信した信号を利用した高精度のRTK測位(Real Time Kinematic)を行い、誤差数センチメートルの測位を可能にするサービスです。ソフトバンクが全国3,300カ所以上に設置した独自基準点を活用してRTK測位を行うため、全国のほとんどの現場で誤差数センチメートルの高精度な測位が可能としています。

ドローンや測位サービスを活用した実証実験を積極的に実施し、利用シーンを拡大

ソフトバンクではこうしたサービスを活用したドローン物流などの実証実験を積極的に実施し、活用場面の拡大に努めています。

2021年8月31日~9月1日に和歌山県すさみ町で、イームズロボティクス株式会社製のドローンと、「ichimill」を連携して協力の下行われた実証実験では、水揚げした魚を港から約3km離れた道の駅まで自動航行のドローンで運搬し、広域を移動する場合でも高精度に着陸できることを実証。高精度測位技術を活用したドローン物流の実用化に向けた大きな前進としました。この実証実験では、オンライン決済に対応したモバイルオーダーシステムを使用し、消費者が道の駅内のレストランから自身のスマホで料理を注文することで、その内容が漁港の関係者とレストランのスタッフに届く仕組みを構築。注文に応じて、漁港の関係者が水揚げしたばかりの新鮮な魚をドローンで運搬、すばやく鮮魚を調理して消費者に提供することが可能としました。

2021年12月14日から2022年1月20日までは、東京都からの受託事業として、双葉電子工業株式会社の協力の下、あきる野市、八王子市および青梅市にて、災害時の陸路の寸断などを想定した孤立地域へのドローンによる物資搬送の実証実験を実施しています。この実証実験では、双葉電子のLTE通信モジュール搭載の物資搬送向けドローンを「ichimill(イチミル)」と連携、LTEを利用して遠隔地から監視・飛行制御することで、高圧送電線越えを含む往復最長7kmを目視外で自動飛行(レベル3)し、20kgの荷物を安定して運搬できることを検証。さらに、ドローンが空撮した映像を、監視・飛行制御を行う拠点の他、都庁や各自治体の防災拠点などにリアルタイムに伝送し、複数の拠点で同じ映像を見ながら的確な指示や意思疎通が図れることを確認しています。

レベル4飛行の実現に向け、高度な3 次元地図やUTMを備えるため技術提携を実施

ソフトバンクでは今後も、レベル 4 飛行の実現を見据えて、通信技術や高精度測位サービス「ichimill(イチミル)」などの各種サービスと、アミューズワンセルフに限らず、さまざまな技術を持つ外部企業の技術・サービスと連携しながら、長時間かつ広範囲なエリア、用途で複数のドローンを安心・安全に運用するための運用基盤を構築し、「SoraSolution」でのサービス展開を目指していくとしています。

この運用基盤の構築には、高精度な 3 次元地図と、それに基づく上空の LTE 環境や飛行ルートのシミュレーションに加え、複数のドローンを運航管理するシステム(UTM:Unmanned Aerial System Traffic Management)などの要素が必須。また、河川や港湾、森林といった広域の点検を効率的に行うためには、長時間飛行ができるドローンも求められます。そうした課題を解決するため、ソフトバンクは、高精度な 3 次元地図の作成に必要なレーザー技術を持ち、6 時間以上の長時間飛行が可能なハイブリッドドローンを開発するアミューズワンセルフと今回の技術提携にいたっています。

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