無人でのインフラ点検を実現!ドローン&3Dスキャナを活用した上下水道トライアルサービスを開始

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ドローンやロボットと各種デバイスを連携させるブルーイノベーション株式会社は、上下水道施設等の設計・施工・メンテナンスなどを行う株式会社フソウと都市デジタルツイン(※1)の中核である3D都市モデル(※2)整備に向けた業務提携を行いました。
3Dスキャナおよびドローンによる上下水道インフラ向け3Dモデル化サービスのトライアル提供を2021年8月23日(月)より開始したと発表しました。

※1:都市デジタルツイン
3Dマップなど都市の地理空間データ上に、様々なインフラに設置されたセンサー端末を通じて取得できる情報を重ねあわせ、バーチャル空間上に実際に存在する都市と対になる「双子(ツイン)」をバーチャル空間上に再現したもの。

※2:3D都市モデル
実世界(フィジカル空間)の都市を仮想的な世界(サイバー空間)に再現した3次元の地理空間データのこと。都市活動に係る様々なデータを結びつける基盤情報として機能し、様々な知識や情報を共有することが可能。

3Dスキャナを使い、ドローンで撮影した画像から施設すべてをデジタル化

3Dモデル化サービスは、インフラ施設内部を設置型レーザー計測の3Dスキャナで、施設外部はドローンで撮影した画像からフォトグラメトリ(※3)で、それぞれ点群データ化することで、目視可能な上下水道インフラ施設すべてをそのままデジタル化するものです。
社会インフラを支えている上下水道インフラ施設の多くは1960年代の高度経済成長期に相次ぎ建設され、完成から50年以上経過しており、深刻な老朽化を迎えています。
国土交通省は国や自治体などが管理するインフラの定期点検を義務づけていますが、度重なる改築・更新工事により、設計図面が無い、または設計図面があったとしても現状と異なるなど、設備の状況を正確に把握することが困難なケースが少なくありません。
さらに地方では、予算の制約や技術者不足の影響で思うように管理できていない自治体もあります。
こうした問題に対し、上下水道インフラ向け3Dモデル化サービスを導入することで、設備をありのままに3Dモデル情報として可視化でき、関係者間でのイメージ共有や合意形成の迅速化と省力化、保守・運用業務の記録の一元化、遠隔化や効率化、高度化が実現できます。
さらに、都市デジタルツインの実現に重要な3D都市モデルのデータとして、まちづくりのDX(デジタルトランスフォーメーション)への活用も可能となります。

※3) フォトグラメトリ
ドローン等を用いて様々な方向から撮影した複数の画像を解析・統合して3DCGを作成する技術のこと。

ブルーイノベーション、フソウの代表コメント

ブルーイノベーションとフソウの代表はそれぞれ以下のようにコメントをしています。

<ブルーイノベーション 代表取締役社長 熊田貴之 氏>

当社は、ドローンやロボット、AIなどを活用し、予兆保全の強化や、施設のDX化に貢献しています。この度の上下水道施設の3Dモデル化の取り組みは、当社の強みとフソウ様の強みを活かした革新的な取り組みです。
今後は、本サービスを広く展開するために、ドローンや測量機器を当社のデバイス統合プラットフォームである「Blue Earth Platform(BEP)※4」に接続し、遠隔で自動制御しつつ、撮影データを解析までワンストップで提供できるシステムにまで拡張し、3D都市モデルの構築に貢献していきます。

※4) Blue Earth Platform(BEP)
ミッションをベースに複数のドローンやロボット、各種デバイスを遠隔・目視外で自動制御・連携させることができる、ブルーイノベーション独自のデバイス統合プラットフォーム。複数のドローンやロボットをBEP で統合管理し、さらに各種OSやシステムと連携させることで、単体では成し得なかった広域での任意・複数のミッションを同時に遂行させることができる。

https://www.blue-i.co.jp/technology/bep/

<フソウ 執行役員 ソリューションデザイン事業部長 平尾嘉一 氏>

当社はこれまで、点群データやBIM/CIMを実際の改築・更新工事における設計・施工業務を通じて、利活用の検討に取り組んできました。
今回発表した3Dモデル化サービスには、高い表現性と情報量を活かした「コミュニケーションツール」としての可能性を感じています。
例えば、既存の2D図面データに、本サービスで取得した点群データやBIM/CIM、360°パノラマ画像など、様々なデータを重ねて表示することにより、各データのズレを視覚で直感的に理解できます。
また、全てのデータを一元管理できるため、3Dモデルの中で気づいた内容や指摘事項を記入すれば関係者全員に簡単に共有でき、そのコメント内容をリスト化機能で指示書の様に出力することも可能です。当社は、これからも「みんなのためのBIM/CIM」実現に向けて活動してまいります。

国を挙げて取り組まれる、新技術による無人インフラ点検

上下水道をはじめとしたインフラ施設は国土交通省や厚生労働省などそれぞれの所管省庁が定めた点検要領に基づいて、国の出先機関や地方自治体が維持・管理しています。
政府は道路や港湾など22のインフラを対象に、点検においてドローンなど新技術の利用を促すため、これまで人の感覚や経験に頼った方法が基本だと定めていた点検要領を2019年より改定しています。改定後の点検要領では、ドローンや水中ロボット、赤外線照射装置など新技術による代替が可能だと明記されており、今後も新技術の活用を拡大し、人間を代替できる技術の進展が見込まれています。
こうした流れを受け、ブルーイノベーションでは、今年6月に東京電力ホールディングス株式会社、株式会社テプコシステムズと3社の共同プロジェクトとして、「送電線点検用ドローン自動飛行システム」を開発し、東京電力パワーグリッド株式会社が保有する送電線の点検業務に同システムを導入しています。
従来、主に高倍率スコープやヘリコプターなどを用いて目視で行っていた送電線の点検作業が、一般的なドローンにも搭載可能な対象物検知センサーで送電線を検知、カメラを搭載したドローンが自動飛行しながら、最適な画角で送電線の異常(例:腐食、劣化など)などを撮影することが可能となり、点検作業の大幅な効率化とコスト低減を可能にしました。

法改正、資格、バッテリー… ドローンによるインフラ点検の課題

こうしたドローンによるインフラ点検の普及加速にあたって重要な点が航空法の改正案です。
国の認可を受ければ人口が密集する都市部でも目視者なしで飛行できるようになる「レベル4」が実現すれば。安全にルート通り飛んでいるか地上から目視する補助者は不要となり、様々な場面でドローンが点検業務を担うことが可能となります。
そのためにもレベル4のための資格、認定制度の整備が必要となります。国土交通省から安全性など認証を得た機体だけが、物流やインフラ点検などに使え、その運用者も安全に操縦・運航できる技能があるか、国家資格を取った事業者だけが飛ばすことができるといった、安心できる水準づくりが求められています。
物理的には、バッテリーとなるリチウムイオン電池の課題もあります。バッテリーは機体重量の約4割を占め、航続距離も数~10キロメートルが限界。荷物の重量によっては全く使い物にならない場合も少なくありません。安定した業務を行える機体の開発も急務です。

新たな成長分野となるドローンによるインフラ点検、上下水道以外にも展開予定

老朽化によるインフラの異常を早期に発見できれば、利用者の安全を確保するだけでなく、適切な維持・管理を通じてインフラを長く使う長寿命化を促すことも可能になります。長寿命化は修繕費の縮減にもつながると期待されている。こうしたハイテクを駆使したインフラ点検は多くの需要が見込まれており、新たな成長分野として、課題を解決しながら急速な普及が望まれています。
ブルーイノベーションとフソウは、今後、上下水道以外のインフラ施設への展開も視野にサービス開発を加速するとともに、持続可能で強靭な都市づくりに寄与する3D都市モデル整備に向けて、積極的に取り組んでいくとしています。

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