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ドローンの先駆者ヤマハとエンルートが業務提携を検討

ヤマハ発動機株式会社(以下ヤマハ)と株式会社エンルート(以下エンルート)が、産業用ドローン事業での業務提携に向けた検討を開始したと発表しました。

今後両社は8月を目途に業務提携契約を締結、各々の製品や事業ノウハウを活用し、以下2点の分野で協業を目指しています。

  1. 農薬等の散布ドローンをはじめとした産業用ドローン事業のグローバル展開。
  2. 精密農業、各種インフラ点検、測量、環境対策、災害対応、運輸、漁業などドローンを
    利用した新規市場開拓。

ドローンの先駆者ヤマハ

『ドローン』という言葉は、今では所謂マルチローター型の無人航空機を指すことが殆どですが、本来は無人航空機全般を指す言葉です。つまり、シングルローター型のラジコンヘリコプターも『ドローン』ということになります。

そして、その無人航空機の民間利用が『ドローン』という言葉が世間を賑わす何年も前から進んでいるのはここ日本です。

アメリカ航空宇宙協会の調査によれば、2002年のデータでは世界の65%もの無人航空機は日本で利用されていました。

主に活躍してきた分野は農薬散布。

その起爆剤になったのは、1989年にヤマハが販売した農薬散布用無人ヘリコプターです。

そしてマルチローター型へ

ヤマハは1989年に農薬散布用無人ヘリコプターを発売し、現在では、国内における防除散布面積は、主食用米水田の42.5%(2016年実績、ヤマハ調べ)に及びます。

また、世界でも農業用途での活躍の場は拡大しており、韓国をはじめアメリカ・オーストラリア・ニュージーランド・タイなどでヤマハの農薬散布用無人ヘリコプターは活用されています。

農業用途以外では、長距離自動航行が可能なマルチソリューション用の産業用無人ヘリが、植生調査・計測業務・防災・災害支援など幅広い産業分野で官公庁、一般企業等に向け高度なサービスを提供しています。

今後、これまで培ってきた空力・制御技術、安全面でのノウハウを生かしたマルチローター型の農薬散布ドローンを開発し、2018年の発売を予定しています。

マルチローター型無人航空機のフロントランナー、エンルート

エンルートは産業用のマルチローター型無人航空機(一般的にドローンと呼ばれている物)を他社に先駆けて開発・販売しています。農業用分野のマルチローター型ドローンでは日本で初めて農林水産航空協会による性能確認基準の適合を受けており、累計500台を販売(2017年3月末現在)しています。

また、災害現場の初動状況把握、インフラ点検や測量の省力・高能率化、物流実験など幅広い産業分野で官公庁等に向けたプロ用ドローンを開発、納入しています。

エンルートが販売する農業用ドローンAC940-Dは、国土交通省の「資料の一部を省略することが出来る無人航空機 」の物件投下・危険物の輸送の対象機体として日本初の認定を取得しています。

ヤマハ×エンルートで日本メーカーの巻き返しなるか

これまで、民生用のマルチローター型ドローンでは、日本は全く世界でシェアを取れていません。

民生用ドローンのシェアで世界の7割という驚異的な数字を叩き出しているのは中国のDJIで、その後にフランス・アメリカのメーカーが続くかたちになっており、日本の企業は全く勝てていないという現状です。さらに、DJIは民生用ドローンで十分にシェアとブランド力を付けたタイミングで、産業用ドローンにも更に力を入れてきています。

しかし、産業用のドローンは民生用とは違い、まだ国内メーカーにも付け入る隙は十分にあります。そのような背景もあり、今回発表のあった、無人農薬散布ヘリの時代からグローバルに展開してきたヤマハと、国内ドローンのフロントランナーであるエンルートの協業は、日本メーカーの巻き返しのきっかけとしても期待されます。

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