修繕・鑑定・空き家など、不動産業界が抱える課題にドローンが介入

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いま、「ドローン(小型無人機)」がさまざまな業界で活躍しています。「東京オリンピック2020」の開会式でのエンターテインメントとしての活用なども記憶に新しいですが、本記事では不動産業界に特化し、すでに実践されている斬新なアイディアや、今後実現が期待される活用構想まで幅広く紹介します。

不動産業界での「ドローン」の活躍とは?

不動産広告の眺望撮影

新築マンションなどの不動産広告に欠かせないビジュアルといえば、部屋からの眺望写真です。
都心の夜景や花火大会の光景、オーシャンビュー、富士山の遠景など、建物竣工前に全戸完売を目指す新築マンション販売では魅力的なビジュアルが売上促進のカギを握ります。
しかし建設現場での眺望撮影は難しく、カメラマンが危険な足場に登って撮影したり、クレーン車を駆使してベストな撮影アングルを模索するなど苦労は山積みでした。そこでドローンを活用すれば、土台が固定された足場やクレーン車より自由自在に移動できるので、さまざまなアングルからの撮影が可能になります。

大規模修繕前の建物診断調査

マンションの大規模修繕計画を立てるには綿密な建物診断調査は欠かせません。
その際、マンション外壁に建築現場同様の足場をかけて調査を行わなくてはならず、タワーマンションとなればゴンドラなどの特殊な足場をかける必要性も出てきます。建物診断は調査員が目視で行うため、調査日数も10日以上かかるのが当たり前でした。そこで、足場をかけての診断作業をドローンで撮影した映像による診断作業に置き換えると、調査日数は2日程度に短縮でき、人件費も大幅に削減できます。

不動産鑑定調査

工場・商業施設・リゾートホテルなどといった大規模建物や、山林・崖地・海岸沿線・無人島などの道路が整備されていない土地、再生可能エネルギー施設用地や公共事業用地などは、不動産鑑定士が直接現地に入って現況調査することが大変困難です。
これまではインターネットから得た情報や過去の航空写真を頼りに鑑定調査が行われてきましたが、これにドローンを活用すれば、リアルな現場の状況や土地境界の所在などを手に取るように把握できます。

夜間セキュリティ

広大な敷地を有する大規模マンションの夜間警備は、敷地内の複数箇所に防犯カメラを設置したり、警備員が定期的に巡回する形で行われてきました。これらのアナログな警備体制をドローンに置き換えると防犯性能は格段にアップします。 防犯カメラの欠点は、複数台設置したとしても「死角」が出来てしまう点です。
映像録画機能を搭載したドローンは常に飛行しながら移動しているため死角がなく、不審者を迅速に発見することができ、さらにその追跡や、不審者の特徴を画像に残すことも可能です。
警備員による定期巡回も有効ではありますが、万一不審者と鉢合ってしまった際、もみ合いになり負傷したり、最悪は命を落とすリスクも考えられます。
ドローンは不審者の手の届かない上空に退避し、映像を撮影しながら警報を発信することもできます。

空き家問題

衛星画像の解析が得意な企業が周辺をあらかじめ調べて別の企業の空き家調査員の負担を減らしたり、空き家を活用する企業と解体を支援する企業が顧客をお互いに紹介し、空き家対策の作業を効率化し、活用の裾野を広げています。
空き家の調査などを手掛ける空き家活用(東京・港)は、衛星画像の人工知能(AI)解析に実績があるサグリ(兵庫県丹波市)と連携します。空き家活用は東名阪を中心に調査員を抱えています。
調査員が現地に足を運び、住宅の郵便受けなどの確認や周辺聞き取りなどでこれまでに16万件超の空き家を調べてきました。
同社はこれらをデータベース化して不動産会社などに提供しているが、サグリの衛星画像や、許可を得たエリアでのドローンによる撮影画像の解析を活用して調査を効率化していきます。昨年9月には東京都の空き家対策のモデル事業に選ばれました。
今年にかけて実証実験したところ、「衛星画像から車の形をAIに学ばせ、駐車エリアであれば空き家ではないので、調査対象から省くことができる。効率的に空き家を調べることができた」(空き家活用)
その結果、調査員が実際に現地で調べる時間と費用が3割弱削減できたといいます。「ドローンの画像で得た家の夜間光の有無で空き家だと判別できる可能性もみえた」(サグリ)といい、両社は今後も協業の余地を探っていくとしています。
空き家は全国で約849万戸に達しています。高齢化や建物の老朽化が一段と進み、1社での対応は限界に近づいています。
NPO法人の空家・空地管理センターの上田真一代表理事は「空き家問題には様々な事情があり、複数企業の連携が進むのは前向きな動きだ」と評価しているが一方で、「まだ連携の規模は全体的に小さい。企業間だけでなく、自治体や非営利団体なども含めた協力体制が望まれる」とも訴えています。

活用分野拡大に伴い、法改正も着々と進行中

不動産業界問わず、今後は主に物流分野での躍進が期待されており、DID上空、および目視外飛行を行おうとする宅配業のドローン操縦者を対象とした国家ライセンス制度も検討されています。
加えて、ドローンの所有者情報や機体情報などを登録制とする法改正も進められており、ドローンを取り巻く環境は今後も変化していきそうです。

不動産以外にも農業、設備点検、物流…ドローンの活用分野は拡大中

ドローン免許を取得した人たちの多くは、「農業」「設備点検」「物流」の各分野へと進出しています。
農業分野 農薬散布や、空中から撮影した映像による農作物の育成状況や病害虫の確認、収穫時期の判断などにドローンを活用しています。
有機農家が増えたことにより農薬散布の需要は少なくなったものの、一部地域ではいまだ実施されています。
以前は農協職員がヘリコプター操縦免許を取得して散布を行っていましが、年に数回という少ない操縦経験が災いし、衝突・墜落事故も頻発し負傷者も出ていました。
ドローンによる農薬散布は、そういった人的被害の減少にも貢献しています。
設備点検分野 高層ビルの外観調査や橋梁の老朽状況調査、太陽光・風力発電といった再生可能エネルギー施設の定期点検の現場でドローンが活躍しています。
主に人が立ち入ることが困難な場所でのニーズが高いので、通常の設備点検業務のほか、台風や土石流発生時など大規模災害時の被害状況把握にも役立っています。
物流分野 コロナ禍の影響もあり急増する商品デリバリーのニーズに対応するため、大手通販会社が中心となりドローンによる商品配送システムの構築が進められています。
とくに、物流に関わる人材が希少な離島・過疎地での荷物配送にドローンを採り入れることが急務となっています。

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