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町の事業者と連携、ドローンの活用で上士幌町をより住みやすい街へ

北海道上士幌町の「生涯活躍のまち」実現を目指すイノベーションチャレンジ実行委員会と、上士幌町の観光地域商社として観光に関するビジネス創出を行う株式会社karch、物流のDX化によるスマートサプライチェーンを実現させるセイノーホールディングス株式会社、IP経営を実践する次世代ドローンの研究開発型テクノロジースタートアップである株式会社エアロネクストおよび経済産業省北海道経済産業局は、2021年10月6日(水)~10月10日(日)に、上士幌町の各地において、ドローンを活用した複数の先進的な実証実験を実施しました。

ドローンなどによる上士幌町「持続可能な未来のまちづくり」に向けた実証実験

今回の実証は、今年の8月11日(水)に上士幌町、セイノーHD、株式会社電通、エアロネクストの4者が締結したドローンを含む次世代高度技術の活用による「持続的な未来のまちづくり」に関する包括連携協定の、「農業・観光・産業・経済の振興」、「カーボンニュートラルと利便性が両立した持続可能な地域交通・物流の確保と住みやすい環境づくり」に関すること、およびkarchと連携した新たな観光コンテンツ開発の「ナイタイテラスにおけるドローンを活用した観光商品開発」に基づくものです。

上士幌町は、北海道十勝管内の北部に位置し、人口約5,000人に対して行政面積は約700平方キロメートルを抱え、総面積の約76%を森林が占める緑豊かな町です。昨年12月に行われた第4回ジャパンSDGsアワードで、推進副本部長(内閣官房長官)賞を受賞したのに続き、SDGs達成に向けた優れた取組を提案した自治体として、内閣府の2021年度「SDGs未来都市」に選定され、その中でも特に先導的な取組として、「自治体SDGsモデル事業」にも併せて選ばれるなど「持続可能な未来のまちづくり」を推進しています。

町の持続的な発展を目指すには、主力産業の観光の更なる磨き上げや農業の高齢化、なり手不足に対する生産性向上、カーボンニュートラルと利便性が両立した域内の移動や物流など住みやすい環境づくりと住民サービスの維持が課題になっています。
上士幌町、セイノーHD、電通、エアロネクストは、karchをはじめとした町の事業者と連携しながら、次世代高度技術の積極的な活用とパートナー連携を拡大し、町の社会課題の解決を目指した、住みやすく、魅力的な街づくりに取り組んでいます。

ドローンを活用した牧場での観光商品開発・日本初のドローン宅配の実証実験を実施

10月6日(水)にはドローン観光商品開発・ドローン宅配に関する2つの実証実験を報道関係者に公開しました。ドローン宅配の実証実験は日本初となります。
◇ナイタイ高原牧場におけるドローンを活用した観光商品開発デモ飛行(主催:karch)

広さ約1,700ha、東京ドーム358個分の面積を誇る日本一広い公設牧場であるナイタイ高原牧場において、ドローンを活用した新たな観光商品開発の実証実験を実施いたしました。
道内最大級の釣具・アウトドア用品店であるコルソ札幌の協力・監修のもと、ナイタイ高原牧場内のカフェテラス「ナイタイテラス」にグランピング特設サイトを開設、利用者がオーダーしたドリンクと「十勝ナイタイ和牛ステーキ」を麓からドローンで配送しました。
上士幌の食や大自然とテクノロジーが融合した観光体験、ナイタイ高原牧場での特別な過ごし方を演出する観光商品として将来的な実施を検討していくとしています。

◇日本初の次世代高度技術活用におけるドローン宅配(個宅への買物代行ドローン配送)実証(主催:イノベーションチャレンジ実行委員会)

町市街地から離れた農村地域に住む交通弱者への買物支援を想定し、食料品をドローンで個宅へ配送する実証実験を実施しました。

本実証実験は、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub®」※1の社会実装に向けた実証実験で、ドローン宅配(個宅へのドローン配送)は日本初の試みとなります。

廃校となった小学校に地元スーパーの荷物を一時在庫したうえで、その中から注文のあった商品を購入者の自宅の敷地内にドローンで直接配送。
実験に協力した上音更地区に住む大道さんは、町がICT活用による地域住民の生活サポートとして実施している「予約制福祉バス」の実証にも参加しており、町が貸与しているタブレットからバスを予約し、サークル活動などで市街地までの足として利用。
今回は、大道さん自身がタブレットから、あらかじめ用意された地元スーパーの食料品の詰め合わせを注文できるアプリを活用し、「ごはんセット」を注文しました。約2分後には自宅前にドローンが着陸し、大道さんの手に届けられました。

*1「SkyHub®︎」 エアロネクストとセイノーHDが共同で開発し展開する、既存物流とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流の仕組みです。
ドローン配送が組み込まれた、オープンプラットフォームかつ標準化したしくみで、ドローンデポ®︎を拠点に、SkyHub®アプリをベースにした配達代行、オンデマンド配送、医薬品配送、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送などのサービスを提供します。
SkyHub🄬の導入は、無人化、無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入であり、物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものとなります。

日本初となる牛の検体のドローン配送の実証実験も実施

また、その後10月7日(木)~10日(日)には、ドローン宅配を引き続き上音更地区の複数の個宅へ実施するとともに、日本初となる牛の検体のドローン配送の実証実験を実施しています。

ドローンを活用した牛の検体の一連配送の実証は、日本初の試みで、経済産業省「地域産業デジタル化支援事業」(実施機関:公益財団法人 北海道科学技術総合振興センター)を活用して実施するものです。北海道十勝を拠点に、肉牛や酪農の大規模牧場を経営する株式会社ノベルズの協力のもと、牛の乳房炎の検体(乳汁)の配送をテーマに、温度管理・振動・ドローン配送と陸上輸送との連携・配送後の検査品質評価等の一連の実証を行い、配送等の課題の多い畜産業界全般におけるスマート物流の実装可能性を検証しました。

実用化も見据え、11月には荷物の集積拠点設置と買物代行サービスを開始予定

今回の行われた複数の実証実験は、実験だけで終わらせることなく、今後実際に上士幌町において実用化を目指した取組みです。
2021年11月頃には、物流インフラとしてのSkyHub®導入の第一歩として、荷物を集積し一時保管するドローンデポ®を市街地に設置し、地上配送と将来のドローン配送を想定した買物代行サービスから開始する予定です。

上士幌町、セイノーHD、電通、エアロネクストの4者および各社では、今後も、包括連携協定に基づき、それぞれが有する資源を有効に活用しながら、相互に連携、協力し、町の課題や町民のニーズに沿って、ドローンを含む次世代高度技術の活用による農業・観光・産業・経済の振興、持続可能な地域雇用および人材教育・人材育成・産業基盤整備、持続可能な地域交通・物流の確保と住みやすい環境づくり、地域防災への貢献および新しい社会インフラの整備を推進することで、上士幌町における「持続的な未来のまちづくり」に貢献していくとしています。

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