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レベル4飛行:都内初となるドローンで複数の大橋を横断する医薬品配送実験を実施

日本航空株式会社(JAL)、KDDI株式会社、株式会社ウェザーニューズ、Terra Drone株式会社、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は、2022年2月8日(火)から2月10日(木)の期間、東京都に採択された「東京都におけるドローン物流プラットフォーム社会実装プロジェクト」にて、都内で初めて、隅田川に架かる永代橋など複数の大橋をドローンで横断する医薬品配送の実証実験を行うことを発表しました。

緊急時・災害時などの即時オンデマンド輸送や医薬品運搬の飛行を確認

「東京都におけるドローン物流プラットフォーム社会実装プロジェクト」は、医薬品配送や駅周辺施設の活用を中心としたドローン物流サービスのビジネスモデルを検討・フィールド実証を行い、ビジネスモデルの収益性向上を検証するものです。

ドローンの利活用促進のための環境整備や技術開発は近年着実に進みつつあり、政府の成長戦略や官民協議会の定めるロードマップにおいても2022年度を目途に有人地帯でのドローンの目視外飛行を可能にすることが目標として掲げられているなか、東京都でも有人地帯での目視外飛行の実現を機に、ドローンを活用した物流ビジネスなど、空の産業革命に対応する新たなビジネスの速やかな社会実装を目指しています。
2020年8月31日に採択された本プロジェクトでは、生産年齢人口の減少、荷物の小口化と多様化により、物流分野におけるドライバー不足が顕在化するなか、そして、新型コロナウイルスの蔓延により、物流分野においても人を介さない非接触やソーシャルディスタンスを確保する生活様式の変化に対応することが求められるなか、こうした課題をドローン物流により解決し、持続可能な事業構築を目指すとともに、アフターコロナにおける物流変革にも寄与することを目的としています。ドローン物流基盤の構築には、モバイル通信を活用したスマートドローンプラットフォームを活用、都市部における安心・安全な空の運航の実現を図っています。

今回の実証実験は、2022年度を目途に法施行が予定されている「有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)」を見据えた実証実験であり、道路の混雑状況にかかわらず、緊急時・災害時における即時のオンデマンド輸送や、日常的に医薬品を届けられる社会の実現を目指す内容が実施されます。

飛行ルートは、人口約1,400万人を抱え、世界でも有数の人口集中地区である東京都内での飛行に向け、リスクを最小限に抑えるため隅田川上空が選定されています。これまでJALが培ってきた空の移動に関わる運航・安全ノウハウと、KDDIの運航管理システムを活用することで十分な安全管理を行い、実証を可能にする運航体制が整備されています。

各社は今回の実証実験を通じて、より実生活に近い運用性・ビジネス性を検証し、ドローンの社会実装に貢献していくとしています。

「東京都におけるドローン物流プラットフォーム社会実装プロジェクト」実証実験実施概要

1.実施日時
2022年2月8日から2022年2月10日(予備日: 2022年2月15日および16日)

2.飛行ルート
株式会社メディセオ 新東京ビル(東京都江東区)から学校法人聖路加国際大学聖路加国際病院(東京都中央区)への配送を想定し、A地点(隅田川大橋付近)からB地点(佃大橋付近)にかけ3つの大橋を横断しながら、隅田川上空を約2.0km飛行します。

3.使用するドローン
ACSL-PF2(ACSL製)

4.検証内容
①品質管理…国が定める「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」に基づいた配送中の温度変化や固定状況を検証
②配送回数…多頻度運航を実施し、1機体につき1日当たりの配送可能回数を検証
③オンデマンド配送の実現性…発注から納品までの所要時間やプロセスを検証

5.各社の役割
・KDDI株式会社:プロジェクト全体取りまとめ、4G LTE を活用したスマートドローン プラットフォームの提供
・日本航空株式会社(JAL):安全管理、ドローン物流モデルのフィージビリティ評価、医薬品配送のビジネスモデル構築
・東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本):駅前およびその周辺施設におけるロケーションの提供、フードデリバリーサービスのビジネスモデル構築、巡回警備などにおけるドローン活用の検討
・株式会社ウェザーニューズ:高精度気象予測情報・気象観測装置の提供、有人ヘリとの連携
・Terra Drone 株式会社:有人航空管制連携を含めた航空管制プラットフォームの提供

6.協力企業
株式会社メディセオ:医薬品配送ビジネスモデル検証協力、医薬品輸送のアドバイザー
学校法人聖路加国際大学聖路加国際病院:医薬品配送ビジネスモデル検証協力

ドローンレベル4運航を見据えたJALの取り組み

JALではこれまでにも医薬品配送を想定した実証実験を、人口集中地区である兵庫県洲本市で行っています。

2021年10月27日(水)・28日(木)には、セコム株式会社、株式会社旭テクノロジー、株式会社Red Dot Drone Japan、株式会社KADOと、兵庫県内にて、医薬品配送、巡回警備、煙突点検、スポーツ空撮の4つのユースケースでの実証実験を実施し成功しています。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構からの2020・21年度受託事業の一環として、2022年度の第三者上空での目視外飛行(レベル4運航)実現に向けた 運航管理システム検証を目的としたもので、「KDDIスマートドローン」を利用し、県内各地にて同時に飛行した複数ドローンの飛行状況・飛行計画の把握、他ドローン接近時の飛行回避対応などを検証しています。

また、ドローンを活用した医薬品輸送に関する共同検討を、株式会社メディパルホールディングスと共同で進めています。2021年10月27日(水)・28日(木)に兵庫県洲本市でドローンによる医薬品の拠点間輸送をユースケースとした実証実験を実施。KDDIのスマートドローンプラットフォームを活用したDRESSプロジェクトの一環として行われたこの実証実験では、JALが航空運送事業における安全運航のノウハウを活かしたドローンの運航および安全管理を担い、メディパルの連結対象の完全子会社である株式会社メディセオのロジスティクス本部が薬剤模擬品を提供、淡路FLCが自治体や医療機関へのリレーション構築を行いました。

JALでは、今後も実証実験を通じて得られる知見を活用し、病院や薬局から実際に医薬品を必要とされる方々への輸送を含む、医薬品物流全体の課題解決を目指し、医薬品を迅速かつ効率的に配送できる、ドローンを活用した新たな物流網の構築を図っていくとしています。

様々な社会課題の解決に向けて「スマートドローン」で取り組むKDDI

KDDIは2016年にドローンの事業化に向けた取り組みを開始。モバイル通信に対応したスマートドローンにより、ドローンが自律飛行し、人を助けてくれる世界を実現に向けた取り組みを行っています。4G LTEなどのモバイル通信を用いてドローンを制御することで、安全な遠隔飛行・長距離飛行を実現するサービスの構築を行っています。

スマートドローンとは、「ドローン+モバイル通信=スマートドローン」のことであり、スマートフォンと同じモバイル通信に対応したスマートドローンは、遠隔監視操作により、人に代わり荷物を運んだり、建設、農業、インフラ、災害の状況をリアルタイムに把握したりすることができるようになるとしています。 2022年1月27日には、生産年齢人口の減少に伴う労働力不足などの社会課題に対する解決や、法制度の整備などによるドローン事業の環境の変化に迅速に対応するため、連結子会社(100%子会社)である「KDDIスマートドローン株式会社」を設立しました。2022年4月1日付でKDDIのドローン事業を承継させる予定で、KDDIスマートドローン社にドローン事業を承継することで、4G LTE・5Gを用いたドローンによる新たなビジネスの実現や、点検・物流・監視・農業・測量などのさまざまな分野におけるニーズに即した機動的なサービスの提供をさらに進めていくとしています。

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