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ユニフライがサウジアラビアで都市づくり計画に参画!~欧州各国での取り組みも紹介~

世界最大の産業用ドローンソリューションプロバイダーであるTerra Drone株式会社の海外グループ会社ユニフライ(ベルギー)は、サウジアラビアで進行中の巨大スマートシティプロジェクト「NEOM(ネオム)」に参加し、ドローン無人運航システム(UTM[Unmanned Aerial System Traffic Management])の開発実装を2ヶ月という短期間で実現したことを、2021年11月17日(水)に発表しました。

2030年のサウジアラビアの都市づくりプロジェクトにユニフライの運行システムが参画

「NEOM」は、サウジアラビアが進めるスマートシティを中核とする非常に大規模な都市開発事業であり、サウジアラビア北西部の紅海・アカバ湾沿岸に再生可能エネルギーを動力源とする総面積2万6,500平方キロメートルの都市建設プロジェクトです。
「NEO」はラテン語で「新しい」を意味し、「M」はアラビア語の「未来」を意味したプロジェクト名です。開発に関しては土地の5%に限定し、95%は環境を保存しながら自然をそのままに残す形で進められています。

スマートシティは未来のプロジェクトとして世界各国で注目されており、本プロジェクも、石油収入に依存しない形で世界経済の中心として貿易やイノベーションのハブとなることを目指す、2030年をターゲットに進める経済多角化事業「サウジビジョン2030」でのひとつとして位置付けられた未来の都市づくりです。
監督はムハンマド・サルマン皇太子をトップに据える特別機関が、操業は政府ファンドが担当。既存の政府の枠組みから外れ独自の法律が適用されるユニークさから、すでに国内外から巨額の投資を集めるプロジェクトとなっています。
自動運転車をはじめ、空飛ぶクルマや各種ロボットなどをインフラに活用することを想定した最先端都市を目指す本プロジェクトにおいて、ドイツ、カナダ、スペインなど欧米諸国のドローン運航管理システムにおける開発実績を持つユニフライが、輸送サービスなどの構築の一端を担うこととなりました。

スペイン・ドイツのプロジェクトにも参画、欧米5カ国でUTM開発を提供するユニフライ

ユニフライはベルギーに本社を置く大手ドローン運行管理サービス・プロバイダーであり、ドローン版航空管制システムともいえるUTMを開発しています。欧米5カ国で導入実績があり、同分野における世界的なリーディングカンパニーとなっています。
同社の技術力を高く評価したドイツ航空局(DFS)が筆頭株主となっているほか、TerraDroneが2016年に戦略的パートナーシップ契約を締結、資本提携も行い海外における筆頭株主となっています。
ユニフライは「NEOM」以前にも各国のドローン商用化や市場拡大を目的としたプロジェクトに参画しています。

スペインでの取り組み

2021年10月からは航空交通管理システムの世界最大級のサプライヤーであるインドラ(スペイン)が約135万ユーロで受注したスペイン航空管制局のドローン運航管理システム「U−スペース」の開発協力を開始しており、ユニフライと航空宇宙機器メーカーのエアバス(フランス)が開発パートナーとしてインドラと提携、共同で開発を進めています。
このプロジェクトは、スペイン航空管制局が2023年1月から施行される欧州規則に則り、スペイン国内におけるドローンの運用を安全にサポートすることを目的としたもので、「U−スペース」が完成することにより、目視外のドローン飛行が可能となります。
この取り組みにより、スペイン航空管制局は航空機やドローン運航、航空関連の情報を統括するスペイン国内で唯一の機関となり、また欧州初の取り組みとして他国との差別化を図っていくとしています。
2023年までの実行スケジュールと24か月延長可能なプロジェクトで、スペインにおけるドローン市場の成長を中長期的にサポートしていく考えです。

ドイツでの取り組み

またドイツでは、ドイツ滑空機研究所とその子会社ドロニク(ともにドイツ)がドローン商用化に向けてドイツ・ハンブルグ港で2021年9月中旬より開始した実証実験において、UTMの技術提供を行っています。
ドイツは国家プロジェクトとして、ドローンの商用利用促進に向けた実証実験を進めており、本実証実験も連邦交通デジタルインフラ省(BMVI)からも資金提供を受けるなど、国を挙げて推進している取り組みとなります。
有人機のヘリコプターや飛行機などが飛び交うドイツの空域を管理するDFSと、DFSおよびドイチェテレコムの合弁会社でドローン追跡プラットフォームを展開するドロニクの主導で、2023年1月から適用される欧州規則に対応するため、ドローンの飛行領域確立に必須となるテスト飛行などを進める予定です。
ドローンの無人飛行の安全性を確認する実証実験では、より実際の利用シーンに近い状況下での飛行実験も予定。
一連の飛行実験では、飛行中ドローンのリアルタイム映像を元にした、緊急時の運航シナリオも検証していくとしています。

「NEOM」においても、こうした各国での取り組みによるユニフライの知見の豊富さ、技術力の高さが評価を獲得。UTMの導入は、通常、ローカライズや飛行承認プロセスの確認などに一定の時間がかかるところ、本プロジェクトでは2ヶ月という短期間で開発から実装までを実現。
2025年を第一段階の目標に掲げる「NEOM」プロジェクトの達成にむけた一定の成果を獲得したとしています。
開発における効率化や開発スピードの向上を実現する体制を整え、今後はさらに難易度の高いクライアントニーズにも応えていく考えをみせています。

ドローンの事業で得たノウハウを活かし「空飛ぶクルマ」が安全に運行する社会実現を図るTerra Drone

2016年に創業したTerra Droneは、都市部の渋滞を避けた新しい移動手段へのニーズ、近年増加する災害時の救急搬送や迅速な物資輸送の必要性の高まりなどを背景に、2021年9月より「空飛ぶクルマ」の領域へ本格的に参入。
ドローンの事業展開で蓄積したUTMに関する技術を基盤として、より安全面を考慮したAAM(Advanced Air Mobility=空飛ぶクルマなどの次世代モビリティの運用概念)を展開しています。
海外では欧州のユニフライとのでUTMの海外展開のほか、2019年10月にアーバンエアモビリティの開発・製造を手掛けるドイツ・ボロコプター社とシンガポールにおいて「空飛ぶクルマ」の運行実証を行っています。
国内では、2021年8月27日に三井物産株式会社、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、朝日航洋株式会社と共同で、大阪・関西万博の公募案件である「エアモビリティ統合運航管理プラットフォーム事業」に採択。
また、ドローンや「空飛ぶクルマ」が安全に活用される社会の実現において必須となる運航管理プラットフォームとして「Terra UTM」の開発を行っています。

安全で効率的な飛行を実現する運航管理について、海外および国内での検証を実施

今までドローン運航管理システムの開発は、国家単位で行われる入札案件が中心でしたが、今後は、地域や都市レベルでの案件が増加していくことも予想されています。
将来的な都市部における空飛ぶクルマを活用した、輸送サービスの提供のため、空飛ぶクルマ・ヘリコプター・ドローンなど多種多様な機体が低空域に混在する状態での安全で効率的な飛行を実現する運航管理に必要な機能などについて、実証を通じた有効性の検証、低空域のインフラにおける課題解決が求められています。
ユニフライおよびTerra Droneは、これからもドローン運航管理システムにおける実績を積み重ね、ドローン市場のデファクトスタンダードを目指すとしています。
具体的には、ネットワークと開発力を活用し、法規制緩和が進む海外市場から展開。2022年に予定されている日本国内のドローン規制緩和を見据え、ユニフライの豊富な実績と知見を活かしながら安全で効率的な飛行を実現する運航管理の検証を行う予定です。

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