2025年10月、東京都港区に本社を構えるエアロファシリティー株式会社(代表取締役社長:木下幹巳)は、米国の航空機メーカー Piasecki Aircraft Corporation(以下 PiAC)と日本国内における販売代理店契約を締結した。これにより、PiACが開発する無人貨物輸送機「KARGO II」の取り扱いを開始し、日本市場への導入支援を本格化させる。
Piasecki Aircraft Corporation(PiAC)とは
1955年に設立されたPiACは、米ペンシルベニア州に拠点を置く研究開発型航空企業。回転翼機や無人航空機(UAV)の設計・製造・試験を専門とし、米国のVTOL(垂直離着陸機)技術の革新を牽引してきた「アイデアカンパニー」として知られる。
2024年には、Kaman Corporationが開発した無人航空機プログラム「KARGO UAV」を取得。PiACはこの技術を基盤に、自社のUAV技術を融合させた次世代モデル「KARGO II」を開発した。
「KARGO II」の特徴
「KARGO II」は中重量クラスの自律型貨物輸送UAVで、軍事・民間の両分野に対応する多目的ロジスティクス・プラットフォームとして設計されている。
主な仕様は以下の通り:
- 最大ペイロード:約590kg(1,300ポンド)
- 航続距離:約1,500km
- 展開性:標準20フィートコンテナに格納可能、迅速な飛行準備
- 輸送方式:ハードマウントポッド積載、荷吊り輸送(エアドロップ対応)
- 自律運航:環境認識・着陸支援システムを搭載
- 整備性:非専門員でも運用可能なシンプル構造
この機体は、災害支援、離島物流、建設資材輸送、防衛任務など、従来の有人機ではコストやリスクが高い領域において、新たな選択肢を提供する。現在PiACは米国内でフルスケール機による飛行試験を進めており、2026年以降の量産を視野に入れている。
エアロファシリティーの展望
エアロファシリティーはこれまでに日本国内で120件以上のヘリポートや防災拠点の設計・施工を手がけてきた実績を持つ。近年は「Vポート」など、次世代空モビリティの社会実装にも注力している。
今回のPiACとの提携により、同社は「KARGO II」の国内導入を通じて、空の物流インフラの高度化と新たなモビリティの創出に貢献する方針だ。
