
物流ドローンの運航体制をクマ対策に活用
秋田県では2025年度、クマによる人身被害が全国最多となる67人に達し、居住区域の約62%でクマの出没が確認されるなど、深刻な状況が続いている。
今回の実証では、NEXT DELIVERYが全国7地域で運用する新スマート物流「SkyHub®」の遠隔運航体制をクマ対策に転用。物流専用ドローン「AirTruck」と駆け付け用ドローン「Matrice 4T」を使用し、巡回・監視から現場確認までの運用を検証した。
実証では、物流ドローンが巡回中に模擬標的を確認し、その位置情報と画像を関係者へ連絡。その後、駆け付けドローンが現場へ向かい、状況を確認する流れを実施した。遠隔ルームからの運航操作も公開された。
なお、今回の実証において、物流ドローンによる荷物の配送は実施していない。

実証実験に使用した物流専用ドローンAirTruck(左)と駆け付けドローンMatrice 4T
既存の物流体制を転用する「デュアルオペレーション」
本事業の特徴は、クマ対策専用の運航チームや新たな設備を整備するのではなく、既存の物流ドローン運航体制にクマ対策業務を組み込む「デュアルオペレーション」にある。
遠隔操作は既存の運航員が担い、現地作業も簡易な操作を基本とすることで、専任人員の配置や新たな人材育成を抑制する。既存の機体や管制システム、運航インフラを活用することで、新規投資を抑えながら、数か月での実装を目指す。
また、1台のドローンを物流・クマ対策・防災の各分野で活用する「トリプルユース」の運用設計も検証対象となる。物流、鳥獣対策、防災など複数分野の予算活用を視野に入れ、持続可能な運用・財源モデルの構築を図る。

遠隔ルームでの遠隔運航の様子(旧藤里中学校体育館)
4社の役割分担
本実証は、東光コンピュータ・サービス(TCS)を代表構成員とする4社の共同企業体(JV)が実施する。TCSが秋田県や藤里町との連絡調整、現地窓口、資料の取りまとめを担い、エアロネクストが実証の企画および技術面の監修を行う。NEXT DELIVERYはドローンの運航や安全管理に加え、飛行許可の取得、運航手順書の作成を担当し、チェンジホールディングスは実証で得られたデータを踏まえた社会実装の検討や自治体への展開を支援する。
各社がそれぞれの技術・運航・地域連携の知見を持ち寄ることで、ドローンを活用したクマ対策の実用化と、全国の自治体への展開を目指す。
全国の自治体への展開を目指す
各社は、今回の実証で得られたデータをもとに、秋田県全域およびクマ対策を必要とする全国の自治体への横展開を目標とする。物流分野で培ったドローンの複数機同時運航技術を鳥獣対策や防災などへ応用し、地域課題の解決につなげる考えだ。クマ対策を単なる鳥獣被害対策にとどめず、先端技術を活用した地域課題解決モデルとして位置づけ、秋田県における新たな産業化や人材誘引の可能性についても検討する。
参画企業の概要
株式会社エアロネクスト
エアロネクストは、「人生100年時代の新しい社会インフラで、豊かさが隅々まで行き渡る世界へ。」をミッションに掲げ、低空域を活用した新たな価値創造を推進する企業である。
独自の重心制御技術「4D GRAVITY®」を核とした技術ライセンス事業や共同開発事業に加え、戦略子会社のNEXT DELIVERYを通じて、新スマート物流「SkyHub®」事業およびドローン運航事業を展開している。
SkyHub®は国内複数地域で社会実装が進んでおり、平時の物流から災害時の緊急輸送まで対応する持続可能な地域物流インフラとして展開を広げている。
さらに、物流分野で培った同時遠隔自動操縦オペレーション技術を基盤に、フィジカルAIの社会実装を推進。物流、農業、設備点検、防災・警備など幅広い産業分野へのAIモジュールの展開と、多様なドローンやロボティクスを統合的に制御するプラットフォームの構築を進めている。
株式会社NEXT DELIVERY
NEXT DELIVERYは、エアロネクストの戦略子会社として、地域物流の集約・効率化を通じて新たな物流インフラを構築する新スマート物流「SkyHub®」事業と、ドローン運航事業を展開する企業である。
SkyHub®事業は国内複数地域で社会実装が進んでおり、物流課題を抱える地域の持続可能な物流体制の構築に取り組んでいる。
また、日本有数のノウハウと実績を持つチームが、最先端の技術とスキルを活用したドローン運航を推進し、地域課題の解決とドローンの社会実装を支えている。
東光コンピュータ・サービス株式会社
東光コンピュータ・サービスは、秋田県大館市に本社を置く1984年創業のIT企業である。業務ソフトウェア・システムの開発、導入サポート、機器販売を中心に、東北地方のほか札幌、東京にも拠点を展開している。
森林組合向け総合業務パッケージ「樹海」など、自社開発ソフトウェアの全国販売も手掛け、ITを通じた地域社会の発展に取り組んでいる。
本事業では代表構成員として、秋田県および市町村との連絡調整、実証結果の報告・整理を担う。
株式会社チェンジホールディングス
チェンジホールディングスは、「Change People、Change Business、Change Japan」をミッションに掲げ、「生産性をCHANGEする」をビジョンとして事業を推進する企業である。
デジタル人材の育成支援や業務プロセスの革新・デジタル化を担うNEW-ITトランスフォーメーション事業と、DXによる地方創生を推進するパブリテック事業を2つの柱として展開している。
デジタル技術を活用した生産性向上と地方創生を通じて、社会課題の解決と地域の持続的な発展を目指している。











