
Skyports Infrastructureは2026年9月15日、東京で、2026年に参加した日本の補助金事業9件すべてで採択されたと発表した。同社によると申請成功率は100%で、対象は大阪府、兵庫県、大分県、山梨県、静岡県、三重県の6府県にわたる。
9件は、AAM(先進的な空のモビリティ)の離着陸場にあたるバーティポートの立地調査や基本設計、運航ネットワークの計画づくりに関わる案件だ。兼松、九州旅客鉄道(JR九州)、鈴与、三井不動産といった日本企業が主導し、Skyportsは調査や候補地評価の実施者として加わる。
目次
採択9件、6府県でAAM関連事業を展開
| 府県 | 件数 | 主導企業 | 主な検討内容 | Skyportsの役割 |
|---|---|---|---|---|
| 大阪府 | 1 | 兼松 | 大阪市内の将来MRO施設の基本設計と事業計画、大阪府内のバーティポート候補地の抽出と評価 | 兼松の調査を支援 |
| 兵庫県 | 4 | 兼松 | バーティポート立地の実現可能性調査、基本設計、運用コンセプトの策定(洲本市、城崎温泉、神戸ウォーターフロント地区、有馬温泉) | 4件の補助事業に参画 |
| 大分県 | 1 | 九州旅客鉄道(JR九州) | 県内でのAAM実装の検討 | 商業面の実現可能性調査と将来のバーティポート候補地の検討を主導 |
| 山梨県 | 1 | 発表文に記載なし | リニア中央新幹線の県内駅周辺へのバーティポート統合の検討 | 予備的な調査と計画 |
| 静岡県 | 1 | 鈴与 | 静岡市域での事業実現可能性調査 | 現地調査と検証を支援 |
| 三重県 | 1 | 三井不動産、伊勢志摩リゾートマネジメント | 伊勢志摩を中心とする中部・関西圏の将来のエアタクシー網の検討 | 候補地の抽出と評価、既存交通網との統合の支援 |
大阪・兵庫は兼松が主導、MRO施設の基本設計も対象
大阪府の案件は兼松が主導し、大阪府と大阪市の双方の補助制度を使う。対象は、大阪市内に将来設けるMRO(整備・修理・オーバーホール)施設の基本設計と事業計画、および大阪府内のバーティポート候補地の抽出と評価だ。Skyportsは兼松が進めるこれらの調査を支援する。
兵庫県では、兼松が主導する4件の補助事業で採択された。内容はバーティポート立地の実現可能性調査、基本設計、運用コンセプトの策定である。対象地区は洲本市(淡路島)、城崎温泉、神戸ウォーターフロント地区、有馬温泉の4か所。
件数の数え方には、発表文の中で幅がある。冒頭は兵庫県で4件の補助事業に採択されたと記す一方、内訳の説明では「兵庫県の補助事業4件に加え、城崎温泉における豊岡市の補助事業」としている。県の補助と市の補助をどう合計しているかは、発表文だけからは切り分けられない。
大分・山梨・静岡・三重ではバーティポート候補地や事業性の調査を担う
大分県の案件は九州旅客鉄道(JR九州)が主導している。県内でAAMをどう実装するかを検討するもので、Skyportsは商業面の実現可能性調査と、将来のバーティポート候補地の検討を主導する。
山梨県では、リニア中央新幹線の県内駅の周辺にバーティポートを組み込めるかを検討する。Skyportsが担うのは予備的な調査と計画だ。
静岡県の案件は鈴与が主導し、静岡市域での事業実現可能性調査が中心になる。Skyportsは将来のバーティポート開発に向けた現地調査と検証を支援する。
三重県の案件を主導するのは三井不動産と伊勢志摩リゾートマネジメントだ。伊勢志摩を中心に中部・関西圏を結ぶ将来のエアタクシー網を検討する内容で、Skyportsはバーティポート候補地の抽出と評価、既存交通網との統合の検討を支援する。
兼松「計画づくりへ焦点が移る段階」
Skyports Infrastructureで日本カントリーマネージャーを務めるMasashi Taruta氏は、今回の採択についてコメントし、参加した9件すべての補助事業を獲得できたことについて、「Skyportsの専門性と、日本の新興AAM市場の形成において当社が果たしている役割への強い評価」と受け止めていると述べた。
Taruta氏は、大阪・兵庫をはじめ、大分、山梨、静岡、三重などの地域で日本の主要企業と連携し、AAM(Advanced Air Mobility)の構想を実行可能なインフラ計画へと具体化していく考えを示した。
兼松で航空宇宙部ゼネラルマネージャーを務めるMasafumi Nishikawa氏は、日本のAAM市場について「重要な新段階に入りつつあり、実用的なインフラと商用運航の計画づくりへ焦点が移ってきている」と説明した。
大阪・兵庫での取り組みについては、都市部の移動サービスに加え、地域間の接続や観光など、幅広い用途を想定しているという。
またNishikawa氏は、Skyportsについて、国際的なバーティポート開発の経験に加え、日本市場への理解も有するパートナーであると評価した。
Skyportsによる発表に基づく内容
今回の内容は、Skyportsが自社サイトで公表した発表資料に基づく。同社は発表の中で、自社をバーティポートのインフラ開発・運営における「グローバルリーダー」、日本におけるバーティポートおよびAAMネットワーク計画のパートナーと位置付けている。
また、9件すべての補助事業を獲得したことについて、同社の専門性に対する評価を示すものと説明している。ただし、これらはいずれもSkyportsおよび協業先による評価であり、第三者機関による評価や裏付けとなるデータは、今回の発表資料では示されていない。
Skyportsは、今回の案件が日本国内の複数地域に広がり、規模も拡大していることから、日本のAAM市場の動きが加速しているとの見方も示している。自治体や産業界の関心が、eVTOLなどの機体開発から、インフラ整備やネットワーク構築、商用運航計画へ移りつつあるとの説明だが、これを裏付ける具体的な市場データは発表資料には記載されていない。
◾️図版について
本記事で使用している図版は、Skyportsの発表ページでOGP画像として掲載されている地図を使用している。同社が作成した資料であり、各府県の位置や名称などの表記はSkyportsによるものである。
なお、同社サイト上のファイル名には生成AIサービスの名称が含まれていることから、本記事では当該図版を生成AIで作成された可能性があるものとして扱う。実写写真ではなく、発表資料に基づくイメージ図である。
◾️Skyports Infrastructureについて
Skyports Infrastructureは、ヘリコプターおよびeVTOL向けのヘリポート・バーティポートの設計、建設、運営を手がける企業である。同社によると、英国と米国で稼働中の施設を有し、中東、欧州、アジアでも開発中の案件を展開している。
◾️出典について
出典:Skyports Infrastructure「Skyports secures nine Japanese AAM subsidy project wins in 2026, with 100% application success rate」(2026年9月15日)https://skyports.net/post/skyports-nine-japanese-aam-subsidy-wins-2026。同リリースは媒体向けの問い合わせ先を、広報・マーケティング担当シニアマネージャーのDoug Anson氏としている。
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