DJI、エベレストで高高度ドローン実証 物流・マッピング・研究で成果

エベレスト,DJI,マッピング,ドローンプレス

DJIは7月9日、世界最高峰チョモランマ(エベレスト)において、高高度での物資輸送、マッピング、大気研究の3つのミッションを成功させたと発表した。ネパール側では新型配送ドローン「DJI FlyCart 100」と測量用ドローン「DJI Matrice 4E」を運用し、中国側ではDJI初のeVTOL配送ドローン「EV50(日本未発売)」が大気化学研究向けの長距離・高高度輸送を支援した。
これまでもエベレストでドローン技術の実証を重ねてきた。2009年には自社開発のフライトコントロールシステムを搭載した無人ヘリコプターの飛行試験を実施し、2010年には「DJI Ace One」が標高4,700m超での運用に成功。2022年には「Mavic 3」が山頂で史上初となるドローン映像を撮影し、2024年には「FlyCart 30」が南斜面ベースキャンプからキャンプ1までの世界初となるドローン配送試験を成功させた。
今回の実証は、高高度環境における物流や測量、科学研究でのドローン活用の可能性をさらに広げる成果となる。今後も研究機関との連携を進め、ドローン技術を通じた安全性向上や環境保全への貢献を目指すとしている。

高高度ドローン配送で10トン超の物資・廃棄物を輸送

DJI FlyCart 100は、海面高度で最大100kgの荷物を長距離輸送できる高積載型の配送ドローンで、高い電力効率も備える。今回の実証では、ネパールのドローン企業Airliftと連携し、高高度環境における飛行性能を検証した。評価項目は、積載能力や通信距離、RTK測位精度、通信の安定性に加え、-15~5℃の環境下でのバッテリー性能などである。酸素ボンベやロープ、はしごなどの登山装備を、ベースキャンプとキャンプ1の間で輸送した。
試験では、FlyCart 100が最大47kgの荷物を運搬し、標高6,300m超での飛行を実証した。ベースキャンプとキャンプ1の間では、合計10,073kgの物資・廃棄物を輸送。このうち7,215kgが登山用物資、2,858kgが山中から回収した廃棄物であった。従来、シェルパは危険なクンブ氷瀑を越えながら6~8時間かけて物資を運搬していたが、FlyCart 100では片道約8分で輸送を完了した。
今後もFlyCart 100を活用し、登山シーズン中にベースキャンプとキャンプ1の間で年間約5,000本の酸素ボンベを輸送する計画である。また復路では、高所キャンプに残された約10トンの廃棄物を搬出する取り組みにも活用する予定だ。登山者1人あたり平均約8kgのごみが山中に残されるとされる中、本取り組みはネパールの山岳環境保全を支援するとともに、ネパール山岳協会が推進する「Zero Waste Initiative 2027」の実現にも貢献する。

氷河マッピングで登山の安全性向上へ

2026年春の登山シーズン、DJIの産業用ドローン「Matrice 4E」が、ヒマラヤの高山で氷河の状態を調べるために試験運用された。
Matrice 4Eは、小型ながら複数のセンサーを搭載した産業用ドローンである。今回の飛行では、標高6,450m、気温マイナス20℃を下回る厳しい環境でも安定して飛行し、高精度なデータを取得した。
調査では、エベレスト・ベースキャンプから、登山ルート上で最も危険な場所の一つとされる「クンブ・アイスフォール」、さらにキャンプ1上部までの3km²以上を、わずか3.5時間で測量した。取得したデータは数センチ単位の誤差で地形を再現できるほど高精度で、これまで人が何日もかけて行っていた測量作業を大幅に効率化した。
このデータにより、氷河のひび割れや崩落の危険がある場所を素早く把握できるようになった。登山隊は安全なルートを計画しやすくなり、危険な場所に立ち入る機会も減らせるため、安全性の向上につながる。
また、機体に搭載されたレーザー距離計は、対象物までの距離や位置をリアルタイムで正確に測定できる。取得した座標データは登山チーム間で共有され、危険箇所の位置確認に役立てられた。さらに、捜索救助活動では雪に覆われた広い範囲を上空から確認し、遭難者の位置や動きを素早く把握するための支援にも活用できる。
このように、Matrice 4Eは高山の過酷な環境でも、登山の安全性を高める新たなツールとして期待されている。
Airlift TechnologyのCEOであるRaj Bikram Maharjan氏は、「氷河の調査や衛星による観測は世界各地で行われているが、ネパールで進めているこの取り組みは、詳細なデータをリアルタイムで取得し、実際の登山の安全確保に活用している点が特徴である」と述べた。
さらに同氏は、「私たちの知る限り、この取り組みはネパール初の事例であり、高高度の登山環境でこれほど大規模にドローンを運用した例としても、世界的に見て先進的な事例の一つである」とコメントしている。

ドローンが高山での気候変動研究を支援

DJIは気候変動に関する科学研究を支援するため、初のeVTOL配送ドローン「DJI EV50」(日本未発売)を活用し、高高度の大気を観測する実証試験を実施した。
試験では、北京大学環境科学与工程学院が開発したオゾン観測機器を、チョモランマ(エベレスト)国家級自然保護区の登山ベースキャンプから観測地点まで輸送した。12日間で計12回の飛行を行い、人による運搬が困難な高地へ観測機器を安全かつ効率的に届けた。
高山では、強風や気圧の低さなど飛行条件が厳しい。そのため、ドローンはらせん状に高度を上げる飛行や往復飛行を組み合わせながら運用された。最も成功した飛行では、最高高度8,861mに到達し、一度の飛行で3,730mを連続上昇することに成功した。
今回の取り組みは、大学の研究者が高高度の対流圏で大気観測を行うためにドローンを活用した初の事例である。これにより、これまで人が運搬することが困難だった観測機器を効率よく輸送できるようになり、気候変動や大気環境に関する研究のさらなる発展が期待されている。

研究や安全性向上を支えるDJIの取り組み

20年以上にわたり、ドローン技術の進化を牽引し、カメラドローン市場を切り拓いてきた。現在では、農業やインフラ点検、防災・公共安全など、世界各地の幅広い分野で活用されるソリューションを提供している。
2026年には、新たな記録の達成ではなく、地球環境の保全や科学研究への貢献を目的として、自社のドローン技術を世界最高峰の山岳地帯へ投入した。高高度での氷河調査や大気観測を支援することで、気候変動の解明や登山の安全性向上に貢献している。
今後も現地のパートナーや登山コミュニティ、研究機関と連携しながら、極限環境で活用できるドローン技術の可能性をさらに広げていく方針である。研究活動の支援に加え、持続可能な社会の実現や安全性の向上に貢献する取り組みを推進していくとしている。

ドローンについて

DJI FlyCart 100は、認定DJI Delivery販売代理店を通じて購入可能。詳細はこちら:https://www.dji.com/flycart-100
DJI Matrice 4 Seriesは、DJI Enterprise正規販売代理店を通じて購入可能。詳細はこちら:https://enterprise.dji.com/matrice-4-series

DJIとは

2006年の創業以来、DJIは民生用ドローンの技術革新を牽引し、世界のドローン市場をリードしてきた。初心者でも手軽に空撮を楽しめる製品から、映像制作や産業用途で活用される高性能機まで幅広い製品を展開し、ドローンの可能性を広げ続けている。
現在では、事業領域は空撮にとどまらない。再生可能エネルギー、農業、公共安全、測量・マッピング、インフラ点検など、さまざまな産業分野でドローンソリューションを提供し、業務の効率化や安全性の向上に貢献している。
「テクノロジーでより良い社会を実現する」という理念のもと、課題解決への発想と探究心を原動力に、ドローンの活用領域を拡大。世界中のユーザーに新たな価値を提供するとともに、産業や社会インフラを支える技術として進化を続けている。

詳細はこちら

ウェブサイト:https://www.dji.com/jp
オンラインストア:https://store.dji.com/jp
Facebook:https://www.facebook.com/dji.jp
Instagram:https://www.instagram.com/djidelivery_official/
X:https://X.com/DJI_Delivery
LinkedIn:https://www.linkedin.com/company/dji/
YouTube:https://www.youtube.com/@DJIDelivery

コメントを残す

*

CAPTCHA