
2025年7月23日、秋田市において、株式会社Liberaware(千葉市)と株式会社ONE・AQITA(秋田市)が共同で、国土交通省が推進する「全国特別重点調査」(*1)の一環として、ドローン「IBIS2」を活用した下水道管路調査を行った。
(*1)「下水道管路の全国特別重点調査」とは:国土交通省HP参照 https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000639.html
この調査では、敷設から約50年が経過した市内および県の下水道管を対象に、腐食やクラック(ひび割れ)の有無を確認。中でも海岸近くの流域下水道管渠において、IBIS2による1回の飛行で約300メートルの調査を完了させる成果を上げた。
従来の方法では足場設置などが必要で、多大な時間とコスト、さらには作業者の安全確保にも課題があったが、ドローンによる調査がこれらの問題をクリアできることが実証された。
調査の背景と各社の役割
全国の下水道管のうち、既に50年の耐用年数を超えた管は約4万kmに及び、20年後には約21万kmへと拡大する見込み。さらに、2025年1月には埼玉県八潮市で管路損傷による道路陥没事故が発生するなど、老朽化への対応は急務とされている。
秋田県では過去の工事事故を契機に安全対策検討委員会が設置され、特に人が進入困難なエリアの点検手法の確立が課題となっていた。こうした中、ドローン点検技術の導入が一つの解決策として注目されている。
調査には以下の3者が連携:
- 秋田市:課題の提示と現地提供
- ONE・AQITA:点検方法の立案と現場対応
- Liberaware:IBIS2の開発・運用支援と操縦支援

今後の展望
Liberawareは、IBISの活用事例を積み重ねながら、ドローンによるインフラ点検の標準化モデル構築を目指しており、国土強靭化に資する技術としての発展を期待している。
将来的には、IBISの運用フローや精度評価をもとに、調査ガイドラインや制度整備が進み、全国的なインフラ点検機材としての地位確立が目標とされている。同社は今後も技術改良を重ね、自治体・事業者との連携を強化する方針だ。