ドローンの活用方法の話でよく出てくる、空撮、点検、測量、農薬散布以外の活用方法として一部で話題になった、ドローンとICタグを組み合わせた千代田化工建設の事例を今回はまとめていきたいと思います。
ドローン×ICタグ
以下が日経新聞で取り上げられていた千代田化工建設の記事です。
千代田化工建設は石油・ガスなどのプラント建設の資材管理に無人ヘリを年内にも導入する。一般にプラント建設現場に数十万点ある資材にICタグを付け、上空から無線通信で物資の所在を簡単に確認可能にする。紛失や盗難への警戒など管理に必要な人手を最大3分の1にまで減らせるという。無人機は配送や警備など世界で活用に向け準備が進むが、プラントの資材管理に用いるのは初めてとみられる。 2014/6/25付日本経済新聞
上の記事のキーワードは『無人ヘリ』と『ICタグ』この二つでしょう。
『無人ヘリ』は所謂ドローンのことです。では『ICタグ』とは何なのか。最近よく耳にするワードですが、これが何なのか解っていないとこのニュースの内容はぼんやりとしか理解できないでしょう。そこで、ドローンは一回置いておいて、『ICタグ』の説明から進めていきます。
ICタグの凄さ
ICタグは、今現在多くの製品に使われているバーコードよりも遥かに優れている技術で、今後はバーコードからICタグへ代わっていくという流れは加速していくでしょう。
何が凄いのか簡単に説明すると、ICタグはそれこそタグのようなものから、シール、カプセル、鍵、コインなど様々な物の中にICチップとアンテナを埋め込み、その中に膨大な量の情報を記憶させます。
アンテナと聞くとサイズの大きなものを想像してしまいますが、その薄さは1ミリ以下。実際に千代田化工建設で使われているICタグも0.8ミリしかありません。
そしてICタグの一番の強みは、アンテナから電波を飛ばすため、直接触れずに距離が離れていても情報を読み取ることができるというところです。
実際にユニクロの姉妹ブランドであるGUでは商品にICタグを付けることにより、客が無人レジに商品を持って行き、レジ下のリーダーを取り付けたボックスに購入する商品をまとめて入れると、一瞬にしてレジ端末に合計金額が表示され会計を済ませることができるというシステムを取り入れ、レジの混雑の改善に役立てています。
ドローンを使うことにより千代田化工建設で可能になったこと
千代田化工建設の場合、資材管理にドローンを用いました。
なぜ資材管理だったかというと、資材管理はバックヤード業務です。収益の影響があまり出ないバックヤード業務でドローンを使うことにより人手不足が解消できるどころか、人員を削減し他社との競争を優位に進めることも可能になります。
プラントの建設現場の資材置き場は広大で、鋼管だけで10万点以上、全体では100万点に及ぶ場合もあります。
今まではその資材の管理に大型プラントで300~350人が必要で、建設期間は3~4年なので資材の管理をするだけで莫大な人件費がかかっていたのです。
更に、以前は建設現場から資材置き場に入ってくるゲートだけでICタグを読み取り、後は年に数回の人手を使ったチェックだけだったため、必要な資材がどこにあるかわからなくなったり、盗難にあったりと、効率も悪く不利益なことばかりでした。
そこで、5~10メートル上空からICタグの情報を読み取る機能を搭載し、事前に飛行ルートを覚えさせることにより自動で巡回経路を飛行することができるドローンを活用することによって、それらの問題を解決することが可能になったのです。
しかも、ラジコン製品を手掛けるエンルートが開発したこのドローンの価格は約75万円。タグは薄さ0.8ミリ、長さ100ミリの樹脂製で1個50円で済んでいるため、大型投資をせずに導入できています。
このようにドローンが救世主となる事例はこれからどんどん増えていくでしょう。
ドローンが我々の生活に欠かせない存在となる日は意外に近いかもしれません。