コマツ×SkycatchでSF映画のような建設現場に

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skycatch

建設機械、鉱山機械メーカーのコマツがアメリカの企業Skycatchに2015年9月に出資をし、そのSkycatchと協業で自社の事業を動かしています。Skycatchはドローンによる測量データの提供、解析を行う2013年に設立されたばかりのまだ若いベンチャー企業です。

何故コマツがこの会社に出資をしたのか。そこにはコマツのソリューション事業である『スマートコンストラクション』が関係しています。このソリューション事業がどういうものかを知れば、これから先の建設業と、ドローンの可能性が見えてきます。

全てがICTで繋がる未来のような現在の話

『スマートコンストラクション』という言葉をご存知でしょうか。テレビコマーシャルでも流れているため、名前だけは聞いたことがあるという人も多いかと思いますが、具体的にどういうものなのかというところまでは建設業界に近しい人でないとなかなか知られていないのではないでしょうか。

コマツはこの事業を 『現場に関わる全てのものをICTで有機的につなぎ、安全で生産性の高いスマートな「未来の現場を作っていく」ソリューション』 としています。

クラウド

まずICTとは、主に公共事業の分野で使われることの多い言葉でInformation and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の略であり、日本語では”情報通信技術”と訳されます。

つまりこの『スマートコンストラクション』という事業は、建設現場全てをデータで管理し、全てをデータを基に通信技術で動かすという目的で立ち上げられています。

現時点で既に、施工完成図面、測量データ、建設計画、進捗状況、今後考えられる土質や埋設物の変動要因、それら土質や埋設物の分析や調査、さらには建機までもICTで繋ぐシステムが出来上がっており、様々な建設現場で使われている状況です。

仕組みとしては、まずドローンで建設現場を空撮した後、コンピューターで3次元モデルを作成。その3次元モデルと施工完成図面を基に正確な建設計画を立てます。それと同時に、上でも触れた土質や埋設物の変動要因や分析や調査を行います。こうして出てきたデータはICTで繋がり自動制御された建機に送られ、正確で効率的な作業が進められて行きます。工事の進捗状況はドローンで管理し、各ICT建機からも日々の出来高がクラウド上に上がってくるため、リアルタイムで細かなところまで現場の管理ができる最先端のシステムになっています。

建機を操縦する作業員はベテランでなくとも、ICTで繋がり知能化された建機が自動制御されているので、単純な操作をしていればあとは勝手に図面通りの位置でショベルの位置を止めてくれたり、角度を変えてくれたりしてくれるため、難しい作業でもこなすことが可能になっています。今の時点でSF映画さながらですが、将来的には無人の建設現場になるということも夢物語ではないのではないでしょうか。

Skycatch社製のドローンの役割

コマツは以下のように、その技術力と実績を非常に高く評価しているためSkycatch社を出資先、協業相手として選びました。

Skycatchは、建設・鉱山現場等を中心とした分野の測量やデータ解析において最先端の技術を有しており、UAV(Unmanned Aerial Vehicle、通称:ドローン)を利用した測量、及び測量データの解析においては米国の鉱山や建設現場で実績をあげています。
コマツは、建設現場のあらゆる情報をICTで繋ぎ、安全で生産性の高い「未来の現場」を実現するソリューション事業「スマートコンストラクション」を2015年2月より日本で開始しました。スマートコンストラクションの重要な構成要素の1つに現況測量があり、SkycatchのUAVを利用した現況測量は、高精度のデータを短納期で提供できる点でお客様から高い評価を頂いています。今後もSkycatchとの協業により、新たなソリューションの開発を進めていく予定です。 コマツ コーポレートコミュニケーション部 2015年09月30日

Skycatchの強みは、よりレベルの高い安定した飛行と撮影を可能にするべく開発された機体も勿論ですが、一番の強みはデータの処理技術と分析力です。他社がまだ本格的にそれらに力を入れていない時から、一日に何時間もの飛行をし、データを収集する訓練をしていました。その結果これまで1週間かかるような作業をクオリティーを上げつつ3~4時間に縮めることに成功しています。こうした差別化によって他よりも一歩先に業界をリードすることができています。

更にSkycatchは、将来的に鉱山やインフラの点検等、その他の市場にも事業を広めていくことを明言しています。既に建設ビジネスと鉱山ビジネスのマーケットが大きなオーストラリアへの進出が進行中です。

このようにまだ設立から3年のベンチャー企業がドローン業界を席巻しつつあります。Skycatchという名前を誰もが知っている日が来るのはそう遠くはないかもしれません。

 

 

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