ACSL、水力発電所での非GPS対応自律飛行ドローンを発表

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国産産業用ドローンの開発を行う株式会社自律制御システム研究所(以下ACSL)は3月4日、北海道電力株式会社と共同で非GPS環境である水力発電所の調圧水槽内で自律飛行が可能なドローンを開発したことを発表した。

水力発電所の調圧水槽内壁点検は通常、調圧水槽の上部から定期的に目視点検を実施し、経年劣化の有無などを検知する。しかし、より詳細な点検をする必要がある場合は命綱を装着した作業員が上部から吊り下がり、ひび割れなどの状況を確認することから安全面や作業効率面に課題があった。

北海道電力はこうした課題を解決するため、近年、設備点検などで実用化が進んでいるドローンに着目し、研究開発分野で連携関係にある北陸電力株式会社、中国電力株式会社、株式会社四国総合研究所および沖縄電力株式会社の協力を得て、ACSLとともに調圧水槽内点検に活用できるドローンの開発を進めてきた。

開発されたのは、ACSLのインフラ点検用ドローン「ACSL-PF2」をベースにしたものだ。非GPS環境、かつ暗所という調圧水槽内において、安定的に飛行させるためにドローン自らが調圧水槽内にあるライザー管などの構造物を目印に、自機との位置関係を計算しながら飛行できる。ドローンは内径十数メートルと比較的狭い環境下で上下・旋回飛行を繰り返しながら内壁全体を撮影する。

北海道電力は、今回の研究開発により作業の安全性向上や点検期間の短縮を図り、カーボンニュートラルの実現に向け重要な役割を持つ再生可能エネルギーの中でも、安定供給に優れた水力発電所の一層の稼働率向上や、費用低減を進めている。またACSLは、国産の産業用ドローンの開発について、用途特化型機体の開発を戦略の1つとして掲げており、両社の思惑が一致したことで当開発に至ったものと考えられる。

両社は今後、ドローンの積極的な活用に向けて、GPSが利用できない屋内設備点検などにおいても、自律飛行が可能なドローンの開発について検討を進めていくとしている。

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