プレナス、ドローンによる田植えやIOTを活用したスマート農業を開始

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持ち帰り弁当の「Hotto Motto (ほっともっと)」と定食レストランの「やよい軒」を国内に2,866店舗、海外9カ国・地域に259店舗の計3,125店舗を展開している株式会社プレナスは、2021年5月10日(月)より、最先端技術の活用や様々な栽培方法を導入したスマート農業による田植えを開始した。

プレナスでは、海外の「ほっともっと」、「やよい軒(YAYOI)」などに国産米を輸出するため、2021年2月より埼玉県加須市に農地を借り受け、「プレナス加須ファーム」として、田んぼの整備や種子の準備を進めていた。3月末現在で、12圃場、約2.5haを展開している。

水田では、日々の水管理を遠隔で管理するクラウド型水管理システムや作付計画、作業指示、作業記録など日々のデータを“見える化”したシステムを導入するなど、生産性の高い稲作経営を目指している。

また今回実施する田植えでは、ドローンを使い水田に直接種をまく直播栽培や育苗箱内の籾数を倍にして効率性を高めた密苗栽培を導入。品種においても、暑さと病害虫に強く、埼玉県の推奨品種である「彩のきずな」や収穫量の多い「あさひの夢」を使用するなど、栽培方法や品種を掛け合わせた様々なパターンを検証し、生産性の高い稲作経営に挑戦するとしている。

従事者数が毎年10万人程度減少し続け、従事者の平均年齢が66.6歳(2018年)と他産業に比べても著しく高齢化している農業だが、一方では担い手への農地集積が進み、経営規模は拡大傾向にある。そうした状況下において、持続的な生産の維持・拡大を図る上で、農作業の大幅な省力化・生産性向上、栽培技術の「見える化」・若手農家への継承、誰もが取り組みやすく若者にとって魅力のある農業の実現が不可欠となっている。ロボット・AI・IoT等の先端技術を農業に積極的に取り入れていく必要があり、ドローンの活用をはじめとしたスマート農業の普及は急務の課題といえる。

国の政策としても、農林水産省のもと、官民が連携し、関係者のニーズやシーズをくみ取りながら、農業用ドローンの普及拡大に向けた取組を推進するための組織として「農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会」が2019年3月に設立されている。

農業分野におけるドローンの活用として、ドローンによる農薬・肥料散布や、ドローンからの空撮画像などによるセンシングをもとに作物の生育状況や病虫害を「見える化」する取り組みが進められている。

農薬や肥料の空中散布は、主に無人ヘリコプターで行われてきたが、散布装置を搭載したドローンにより、農薬の面散布、スポット散布をすることができるようになった。無人ヘリコプターに比べ、機体が小型で価格が安いため、生産者の労働負担の軽減や、中山間地域や傾斜地など平地に比べ不利な圃場での作業効率性の向上が実現でき、コスト削減効果も期待されている。またドローンに搭載した散布装置は、稲作の直播でも活躍する。なお農薬散布する場合には、事前に国土交通省への許可・承認の申請が必要となる。

センシングについては、ドローンに搭載したカメラで空撮した圃場の画像を分析することで、農作物の生育状況や病害虫の発生などを可視化。生育不良のところだけピンポイントで追肥や防除を行うなどの判断や、圃場間の生育状況の比較、収量予測などにも役立てることができる。以前は人工衛星の画像を活用したセンシングが主流だったが、ドローンを活用することでより簡単に情報が取得でき、目視による見回り確認に比べても時間を大幅に削減できる。また、生育状況をデータ化することで翌年以降の土作りや栽培計画にも活用することができる。

その他にも、コンテナなどをドローンに取り付けての農作物の運搬実証実験や自動航行・複数編隊による作業実証実験、画像解析や自動見回り技術による鳥獣被害対策の研究開発も進んでいる。またダイハツが農業用ドローンの基地機能を持つ次世代軽トラックを発表するなど、普及に向けた技術開発のすそ野も広がっている

なお農業用ドローンを導入する場合、初期費用として、ドローン本体で約100~300万円、農薬散布用のタンク、バッテリーや充電器などの装備などを合わせると導入だけで最低でも150万円程度が必要となる。この初期費用という普及課題を補うため、次のような補助金などの支援策が用意されている。

「産地生産基盤パワーアップ事業(収益性向上対策)」

農林水産省によって実施されている、収益力の高い産地づくりを進めるため、産地が「生産コスト10%以上の削減」や「労働生産性の10%以上の向上」などの目標を設定し、その達成に必要な農業機械のリース導入・取得、集出荷貯蔵施設などの整備・設備にかかる費用などに対して総合的に支援する補助事業。農業用ドローンなど実用化済みのスマート農業関連技術の導入に対しても、幅広く活用できる。市販されている本体価格50万円以上の機械が対象で、補助率は2分の1以内。

「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」

農林水産省の提供する、産地の収益力強化と担い手の経営を応援するために、必要な農業用機械・施設の導入の際に農業法人や農業者団体の規模に応じた支援をする制度。農業者の減少や労働力不足などを解消するためとなる新たな事業モデルの育成も支援の対象となる。毎年2~3月頃に事業者の公募が始まる。

なお予算に不安があるときはリースやレンタルの利用も検討したい。やレンタルがおすすめです。バッテリー込みで、1泊2日で5万円程度(機体のみ)と費用を大幅に引き下げることができるものもある。またシェアすることで初期費用を大幅に引き下げるシェアリングサービスなども、2020年の航空法と農薬取締法に基づく規制を緩和して以降、加速している。ドローンベンチャーのナイルワークスと住友商事などが確立した農業用ドローンを手軽に導入できるシェアリングサービスが東北を中心に展開されているので合わせて確認するとよい。

プレナスではスマート農業の普及推進以前より、日本の歴史、伝統に密接に関わりのある米文化を守り、その素晴らしさを未来へつなげていくために、以下のような活動に取り組んでいる。

【プレナス米文化継承事業】

1.壁画「棚田の四季」

日本の美しい四季の中にある棚田を、細川護熙氏が墨絵で描いた作品「棚田の四季」。2m×1mの大きさの和紙60枚によって構成された、米文化継承事業のシンボルとなる天高8mの壮大な壁画。

https://www.plenus.co.jp/tanada-no-shiki/

2.米文化継承番組「The Story of Rice」

米を中心とした日本の食文化の魅力を世界に発信する映像番組。アイルランドの女性料理家・レイチェルアレンさんが、日本の米食文化を探しに様々な場所を旅行。各地を旅するレイチェルさんの目を通して、米を中心として広がる豊かな日本の食文化と、米と共に生きてきた日本の姿を映す。

https://www.plenus.co.jp/rice/story_of_rice/

3.プレナスの米育活動

イベントやセミナーを通して米文化の素晴らしさを子供たちに学んでいただく活動。農作業体験や精米工場の見学、お米をテーマにした絵画を屋外に飾る「お米大好き絵画プロジェクト」など情報発信や活動を行なっている。

https://www.plenus.co.jp/rice/education/

4. Plenus米食文化研究所

米にまつわる生活文化や歴史、美しい日本の食文化の姿を研究し、世界に伝える活動を行う一般社団法人を設立。ホームページでは米の魅力を紐解く「米ライブラリー」をはじめ、弁当の変遷や定食の成り立ちをまとめた「弁当ライブラリー」、「定食ライブラリー」など、日本の食文化の魅力を様々な角度から発信している。

https://kome-academy.com/roots/story.html

プレナス米文化継承事業 公式サイト

https://www.plenus.co.jp/brand/rice/

こうしたプレナスのような食産業の理念と、ドローンをはじめとしたITベンチャー企業の農業分野への活発な参入が融合することで、今後、スマート農業のますますの発展が期待される。

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