東京五輪開幕!開会式で魅せた幻想ドローンショー

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ドローンプレスドローンショーオリンピック

2021年7月23日の東京五輪開会式は、企業にとっても技術や製品を世界に発信する好機となりました。夜空に立体的な「地球」を描いたドローン(小型無人機)ショーを手がけたのは米半導体大手のインテル。エネルギー大手のENEOSホールディングス(HD)は五輪史上初めて、環境負荷が小さい水素で聖火をともした。スポーツと平和の祭典を企業が培った技術が支える東京オリンピックとなりました。

東京五輪、インテル・パナソニックの技術がついに結集!

夜空を彩ったドローンショー。1824台のドローンが五輪のエンブレムを形作り、平和を象徴する青い地球へと姿を変えました。インテルは2018年の平昌冬季五輪でも1200台超のドローンでショーを披露したことでも有名です。
今回、使ったのは4つの羽根を備える「シューティング・スター」という同社のドローンです。数は平昌の約1.5倍。1台340グラムと軽く、最大秒速11メートルまでの風にも耐える製品となっています。


高精細LEDを4つ搭載したことで、「鮮明で境界のない明るさを実現し、より細かいグラフィックス表現が可能になったとインテル日本法人の鈴木国正社長はコメントしています。ドローンの動き、光の色や点滅はアニメーションのソフトウエアなどで設計し、あのようなドローンショーを実現しました。


インテルは今回の東京五輪で、高性能CPU(中央演算処理装置)を駆使したデータの生成・処理などの技術を提供しています。アスリートの動作を複数のカメラで即座に分析したり、立体データから自由に視点を移動したりといったもので、テレビ放送にも活用されています。
パナソニックは国立競技場にプロジェクションマッピングに使うプロジェクターや音響設備、照明器具を納入し、開会式の演出を支えました。音響設備はスピーカーから離れていても明瞭な音が聞こえるものになります。照明器具は瞬時にオン・オフでき、高精細な4Kや8K放送で色を鮮やかに再現できるように設計されました。

ドローンを筆頭に他の企業の技術が披露された東京オリンピック2020

環境に配慮した聖火台、トーチには東日本大震災3.11の仮設住宅の窓サッシを使用

地球環境への配慮は今大会東京オリンピック2020の大きなテーマとなっています。国立競技場と夢の大橋(東京・江東)に設置された聖火台にはENEOSHDが水素を供給しています。
再生可能エネルギー由来の水素となっており、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などが福島県に設立した「福島水素エネルギー研究フィールド」(福島県浪江町)で製造し、東京まで運ばれます。再生エネ電力を使い、水を電気分解して発生させた「グリーン水素」です。製造時にも二酸化炭素(CO2)は出ない仕組みになっています。
聖火のトーチに使うアルミニウムの製造はLIXILが担当しました。アルミをリサイクルして窓サッシなどをつくる技術が評価され、素材の約3割は東日本大震災の被災者が暮らした仮設住宅の窓サッシを再利用したものとなっています。

トーチ本体を作ったのは金属加工・販売のUACJ押出加工(東京・中央)。軽量化しつつ、桜をイメージした複雑なデザインを実現する必要があり、金型の設計を繰り返し、約3年がかりで完成させました。トーチは全長71センチ、重さ1.2キロ。約1万本が全国で聖火をつなぎました。

ドローンプレストーチ

AOKIとユニクロの企業努力が詰まったオリンピックウェア

紳士服大手のAOKIホールディングス(HD)は日本代表選手が記者会見の場などで着る「式典服」と「開会式服」を1600人分用意しました。日本オリンピック委員会(JOC)などが19年に実施したコンペで数十社の中から選ばれ、
開会式服は白いジャケットと赤のパンツ、またジャケットの生地には日本の職人の特殊技術で小さな穴をあけ、通気性と伸縮性を高めたものが採用されました。シャツやブラウスには吸水・速乾機能を持たせた作りとなっています。AOKIHDの青木彰宏社長は「国内で60年間スーツを作ってきた技術を発信できる」とコメントを発表しました。
ファーストリテイリング傘下のユニクロは、スウェーデン選手団に公式ウエアを提供しました。環境先進国とされる同国のためサステナビリティー(持続可能性)の観点を重視し、回収したペットボトル由来の再生ポリエステルなどを採用したものになります。

日本が世界に誇るゲームコンテンツからは入場曲を採用!

選手入場時には、国内外で人気の高い家庭用ゲームのテーマ曲などが使われました。「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」などスクウェア・エニックス・ホールディングスの6作品から9曲が採用されました。
ネット上では「ドラクエの曲で鳥肌が立った」などと大きな反響があり、カプコンの「モンスターハンター」やバンダイナムコホールディングスの3作品、セガサミーホールディングスやコナミホールディングスから各2作品が使われ、日本が世界に誇るゲーム産業を大々的にアピールできた開会式となりました。

日本の企業技術の発表の場とされているオリンピックで、ドローンが大きな存在感を示した今回の東京オリンピック2020。法改正が進むドローン業界で、こういったドローンのめざましい活躍は嬉しい限りですね。
物流や災害時でも活躍の場を広げているドローンですが、今回のオリンピックを機に、エンターテインメント業界でもなくてはならない存在になりそうです。

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