全国で学校跡地を活用!ドローン教習所や次世代スマート農業研究施設が開設

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中国・DJI社製品の日本初の正規販売代理店である株式会社セキドの関係会社で、ドローン事業などを行う株式会社セキドパートナーズは、農業用ハウスや水耕栽培の設備設計・販売などを行う株式会社JPP、VRコンテンツ制作などを行う株式会社積木製作、主要食糧の加工およびその販売や農林水産業関連機器製造開発などを行う但馬米穀株式会社と共同で、次世代農業関連の研究・開発事業を行うプロジェクト「春日部みどりのPARK共同事業体」を発足したことを、2021年9月14日(月)に発表しました。

春日部市の小学校跡地に次世代スマート農業などの研究施設が誕生

「春日部みどりのPARK」は、未来的ロボティクス技術を活用した次世代農業や再生可能エネルギーを活用したBCP(事業継続計画)対策の研究開発などを目的とした共同事業施設で、埼玉県春日部市の旧富多小学校跡地を使用し、2022年春に開設を予定しています。
共同事業体となるセキドパートナーズ、JPP、積木製作、但馬米穀の4社により、情報通信技術(ICT)など最新技術を活用した、次世代スマート農業に関連した技術および製品の研究・開発を中心に事業展開をしていく予定で、具体的には、農業用ドローンおよび水中ドローンの研究・開発、施設栽培農業用ハウスの研究・開発、無農薬屋内水耕栽培技術の研究・開発、次世代スマート農業機械の研究・開発、オフグリッド太陽光発電の研究・開発などの事業を行います。

歴史ある小学校跡地の活用のため、春日部市が事業を公示

「春日部みどりのPARK」設立の発端は、春日部市が、2019年3月に閉校し、126年の歴史に幕を下ろした旧春日部市立富多小学校の跡地を有効活用するため、活用を希望する事業者を募集する公示を出したことによります。
対象となる事業者の選定および協議の結果、「春日部みどりのPARK共同事業体」と「市有財産賃貸借及び旧富多小学校跡地活用に関する契約」が2021年8月23日(月)に締結されました。

研究成果を活用したスクール、イベントを開催!災害時には避難所や投票所としても活用

「春日部みどりのPARK」では、スマート農業関連技術および製品の研究・開発だけでなく、その研究成果を活用した講習会やスクール、地域活性や観光集客を目指したイベントも開催していくとのことです。
ドローンや水中ドローン操縦方法や安全運用に欠かせない技術・知識を修得するスクール、次世代スマート農業や先端技術に関する各種イベントの開催を通じて、施設での取り組みを身近に感じてもらうとともに、地域活性化や観光集客に繋げていくとしています。
また「春日部みどりのPARK」は、小学校跡地の構造物や立地を活かし、太陽光発電と蓄電設備を使った自己完結型の電力システムを備えた先進公共施設として、災害時における数日間電力供給が可能な避難所や、カーボンニュートラルな投票所などとしての活用も計画されています。

ドローン業務の先駆者であるセキド、9月には農薬散布ドローン実演会も開催

「春日部みどりのPARK」の事業を進めるセキドは、日本国内において45,000社以上の企業や官公庁様と取引実績がある、ドローンの販売並びに各種サポート業務のリーディングカンパニーです。
ドローンの世界最大手である中国・DJI社の代理店を日本国内で初めてスタートさせ、現在は東京都虎ノ門と神奈川県横浜市、福岡県博多市にてドローン総合施設を運営しています。
また、これまで1,950回以上の各種セミナーやイベントを全国で開催、延べ21,000名以上の方が参加しています。

次世代スマート農業の普及に向けた取り組みを進めており、2021年9月24日(金)には、農薬専業の化学薬品メーカーであるクミアイ化学工業株式会社と最新のDJI製農薬散布ドローン「AGRAST20(アグラスT20)」による散布飛行実演会を横浜市で開催。
農薬散布の基本的な機能に加え、自動航行やRTK(高精度測位)など多くのインテリジェント機能を搭載する「AGRAST20」の実機を用いた手動・自動散布のデモ飛行と、クミアイ化学工業による農薬の最新情報、セキドによる補助金を活用した導入紹介を含めた”座学会”のセットで実施、実際の散布飛行を確認できたほか、助成金・補助金を活用した導入の検討にも応えました。

甲賀市は学校跡地にドローン操縦士育成の訓練校を開校

こうした小学校跡地の利活用として自治体がドローンに関する取り組みに使用している事例はほかにもあります。
滋賀県甲賀市では2021年5月6日、2018年に閉校した同市土山町の旧鮎河小学校の跡地をドローンの訓練校として活用するため、ドローンでの農薬散布などを手掛ける東近江市の会社「デザインサーファーズ」と協定を締結しています。
デザインサーファーズは2015年の設立以来、ドローン操縦士育成のほか、滋賀県内外35拠点で農薬散布事業に携わる会社です。
この事業では運動場や体育館を活用し、ドローンの操縦に関する5日間の集中訓練コースを設け、年間50人程度を受け入れる予定です。
スクールは来年春の開校を予定しています。改修した空き教室はサテライトオフィスとして別の企業にも貸し出されます。

仙台市でも学校跡地で農業用ドローンの操縦士を養成する教習所を設立

また、2021年4月には田んぼなどに農薬や肥料を散布する農業用ドローンの操縦士を養成する教習所「アグリフライヤードローンフィールド仙台校」が宮城県仙台市内の小学校跡地に開校しています。
農業の現場では高齢化や担い手不足が課題となり、省力化につながるドローンへの関心が高まるなか、スマート農業を担う人材育成のために設置されたものです。
教習所は、国際航空貨物業の株式会社エアトリビューンが運営しており同社が仙台市と連携し、2020年に廃校となった仙台市青葉区の作並小学校跡地に開校しました。
教習所では教室で航空法や農薬などについて学び、校庭では農地を想定して、農業用ドローンの操縦や水を使った散布訓練などを行います。月曜から5日間のカリキュラムで、最終日に検定試験を実施し、合格者に操縦士の認定証が交付されます。
エアトリビューンによると、1ヘクタールの農地に農薬などを散布する場合、人が動力噴霧器を背負って行うと数時間かかる作業が、農業用ドローンを使うと約10分で終えることができ、大幅な省力化が可能になります。
農業用ドローンを使った農薬などの散布は全国で広がりつつあり、九州では水稲での普及率が約70%にものぼっているが、東北地方は約5%にとどまっている点も課題であり、仙台市での開校にいたりました。

また2020年に調査した「農林業センサス」の宮城県内の集計結果によると、農業従事者の減少と高齢化が進んでおり、宮城県では、農業の省力化や効率化に向け、スマート農業の普及を推進しています。
エアトリビューンでは「農業用ドローンの需要は右肩上がりに伸びている。農業が盛んな東北で操縦士を増やし、若手の後継者の後押しもしていきたい」と述べています。

人材育成以外にも物資配送・有害鳥獣探索など実証実験に学校跡地を活用

人材育成以外の学校跡地のドローン事業活用事例としては、2021年3月に仙台市青葉区作並、新川両地区で行われた、学校跡地を飛行場に見立て、小型無人機ドローンが中山間地で物資を配送する実証実験があります。
IT企業のパーソルプロセス・テクノロジー株式会社が、仙台市の官民連携窓口「クロス・センダイ・ラボ」の支援を得て実施、約1.4キロ離れた作並小と同小新川分校の跡地を離着陸場とし、災害で道路が通行できなくなったとの想定で、ドローンによる物資の受け渡しを行いました。

使用した機体は高さ55cm、プロペラの幅100cmで、重量5kg以内の物資輸送ができるもの。新川から作並へは非常食やマスク、作並から新川へは水1リットルと薬をそれぞれ片道7分で運搬しました。
新川では旧理科室に管制塔を設置。機体が目視できなくなっても地図画面に表示される位置情報と、ドローンが撮影するライブ映像を頼りに、風向きや機体の傾きのデータなどを参考にして遠隔操縦を行いました。
仙台市では、今後、災害時だけでなく、平常時も薬の受け取りなどへのドローン活用に向けて検証を重ねていくとしています。

同実験ではドローンによる有害鳥獣の探索も実施しました。
動物の体温を感知する赤外線カメラで、新川地区の2平方キロの範囲を動画撮影し、個体数や生息場所の把握に必要なデータを収集、そのほかにも旧新川分校の上空からの建物点検、立ち入りが危険な橋の点検にも取り組んでいます。

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