2018年3月14日、エアロセンス株式会社(本社:東京都文京区、以下エアロセンス)と株式会社NTTドコモ(本社:東京都千代田区、以下ドコモ)は福岡で、VTOL(ブイトール)ドローンを使ったLTE通信によるリアルタイムでの映像伝送に成功しました。
実証実験の概要
エアロセンスとドコモは、小型・軽量のカメラやLTE通信デバイスを積載したVTOLドローンによる実証実験をおこない、リアルタイムでの機体監視、カメラ映像の伝送に成功しました。
実験に協力した福岡市は、2005年に発生した福岡県西方沖地震以降、災害発生時の離島などの被災状況を迅速に確認できないものか、課題を抱えていました。
今回の実験を通じて、ドローンの長距離移動やカメラによる状況確認の即時性など、インフラとしての活用が示されました。
VTOL(ブイトール)ドローンとは
一般的によく目にするドローンは本体と複数のプロペラからなる「マルチコプター」と呼ばれるタイプで、その性質上10km以上離れた場所での飛行が困難といわれてきました。
一方、今回使われたVTOL(Vertical TakeOff and Landing=垂直離着陸)ドローンは、機体と翼が固定された航空機のような形状となっており、離着陸性にすぐれ、広範囲への飛行も得意とし、バッテリーの持ちもマルチコプターより長いという特徴を持っています。このVTOLドローンによって、今回の実証実験では九州本島から玄界島まで飛行距離おおよそ7km、平均速度90km/hでの飛行を成功させています。
高速通信×ドローンのメリット
“無人”航空機であるドローンは、操縦や映像伝送を行うため、通信技術とは切っても切れない関係にあります。
今世に出ているドローンは、パイロットが持つプロポとドローン間の通信で操縦を行うため、何十キロも離れた場所のドローンを操縦するというのは不可能です。それを解決するため、ドローン業界では2016年頃から盛んに、3G/4G/LTEといった高速無線通信とドローンを結びつけた実験を行い、安定した長距離自律飛行を目指しています。
3Gよりも通信スピードが早いLTEを使用した今回の実験では、飛行中の位置や高度、速度、カメラ映像といった飛行状況をより正確に把握できるようになりました。
今後の通信会社の動きに注目
今回のVTOL×LTEによる実験では、「スピーディな移動」「リアルタイムでのやりとり」この2つの可能性を示しました。
このリリースが出た翌15日には、KDDIがテラドローン社やセコム社とLTEを用いたドローンによる遠隔巡回警備の実験についてプレスリリースを出しており、今後も通信会社を中心とした同様の実験が増えていくと考えられます。
操作性やバッテリーの持ちなど、ドローンの機体性能は日進月歩で進んでいます。今後は通信会社・通信技術の動きからも目が離せなくなりそうです。