エアロネクスト、モンゴルでドローンによる血液製剤配送、422回の運用に成功!

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株式会社エアロネクストは、経済産業省「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」による実証事業の成果として、モンゴルで血液製剤のドローン配送を社会実装した。これにより、同国におけるドローン物流のデファクトスタンダード確立に向けた取り組みを前進させた。
本事業では、交通渋滞が深刻なウランバートル市において都市型スマート物流モデルを構築。2025年5月から11月末までの約7カ月で422回の定常配送を実施し、516人分の血液製剤のドローン配送を実施し、5名の緊急救命に寄与した。医療インフラとしての有効性と持続可能性を実証した形である。
さらに、モンゴル国内での機体開発から第三国展開を見据えた事業開発までを一気通貫で推進。新興国に共通する物流課題に対する日本発ドローン物流モデルの海外展開可能性を示した。

血液製剤を物流ドローン専用箱に詰めるスタッフ(ウランバートル市 国立輸血センター)

血液製剤ドローン配送が必要とされた背景

モンゴルでは、首都ウランバートル市において深刻な交通渋滞が常態化している。その影響により、緊急性の高い血液輸送や消費者向け即日配送のニーズが高まっている。一方で、現在の輸配送は自社トラックによる運用が一般的であり、交通渋滞の慢性化や人件費の高騰が続いている。その結果、配送の効率が低下するとともに、コストの増加が大きな課題となっている。
また、配送の小口化や多頻度化が進んだことで、物流の効率はさらに低下し、コスト増大を招いている。こうした問題はモンゴルに限らず、国際社会においても、とりわけ都市部で共通の課題として深刻化している。
本事業では、このような状況を踏まえ、ラストワンマイルの新たな物流手段としてドローン配送を導入した。さらに、ドローンの活用を前提とした物流オペレーションを構築し、実証を進めている。これにより、ドローンを物流システムに組み込んだ「スマート物流」の実現を図り、将来的にはそのデファクトスタンダードを確立することを目的として本事業を実施した。

本事業の取り組み

モンゴル首都ウランバートル市では、血液製剤という医療分野を起点にドローン配送を社会実装した。あわせて現地での運航体制を構築するとともに、機体の開発・整備を現地で完結させる体制整備にも取り組んだ。
さらに将来的な展開として、郵便、フード、日用品など生活インフラ分野への拡張可能性を検証。加えて、キルギスやウズベキスタンなど、類似の物流課題を抱える第三国への横展開も視野に入れ、事業化可能性を確認した。

本事業の成果

1)ドローン物流モデルの構築

■ 医療分野で商用ドローン配送を社会実装、日用品配送へ展開
エアロネクストの戦略子会社である株式会社NEXT DELIVERYが運航トレーニングを担い、モンゴル大手インフラ企業Newcom Groupの子会社MSDD(Mongolia Smart Drone Delivery)は、2024年に同国初となる商用ドローン飛行ライセンスを取得した。これにより、国立輸血センターから市内複数の病院への血液製剤のドローン配送が、商用運航として開始された。
本事業では、この体制を基盤として運用が拡大された。2025年5月から定期配送が開始され、同年11月末までに計422回の配送が実施された。その結果、516人分の血液製剤がドローンにより輸送された。さらに、ウランバートル市内14カ所の病院への飛行ルートが確立され、医療インフラとしての実効性が示された。

・モンゴル郵便と連携し、2025年6月の3日間にわたり郵便物の試験輸送を実施した。

・モンゴル国内最大手のフードデリバリー事業者TOK TOK LLCと協働し、郊外の避暑地まで片道16.5kmの長距離配送を実施した。

■ 安全運航体制の確立とオペレーション標準化
NEXT DELIVERYおよびMSDDにより、日本の安全基準に準拠した運航が継続された。これにあわせて、運航オペレーションの標準化およびマニュアル整備が進められた。さらに、冬季にはマイナス20℃前後(運用時は-10℃以上)となる厳寒環境に加え、標高約1,300mの高地条件および都市部上空という厳しい運用環境下での飛行実績が蓄積された。これらの取り組みにより、実運用に耐えうる安全運航体制が確立された。

2)機体開発

■ “世界一寒い首都”で通用する機体開発の知見を獲得
現地パートナー企業との連携のもと、寒冷・高地・強風といった過酷な環境下においても安定した飛行が可能となる機体開発が進められた。その結果、寒冷地対応型ドローンの量産開発に資する重要な技術的知見が蓄積された。あわせて、モンゴルを低価格かつ高品質なドローンの製造・供給拠点とする可能性も示唆された

3)事業開発・第三国展開

■ キルギス・ウズベキスタンでの展開可能性を検証
キルギスおよびウズベキスタンにおいて、ドローン物流に関するニーズ調査および現地パートナーの探索が実施された。医療配送を起点とした事業展開の可能性や、キルギス航空学院と連携したパイロット育成などについて具体的な協議が進められている。早期の実証実験の実施を視野に入れた検討が進められている段階である。

■ Newcom Groupとの関係強化
モンゴル国内における血液製剤のドローン配送に対する社会的評価の高まりを受け、パートナー企業であるNewcom Groupとの関係は一層強化された。出資や共同事業の推進を含む次フェーズに向けた検討も進められている。
また、2022年から継続するパートナーシップが評価され、モンゴル大手物流企業との関係構築も進展した。さらに、ロータリークラブによるMSDDへの機体寄贈支援など、事業基盤の拡充につながる動きも確認された。

現地パートナー企業と連携した機体開発の様子

血液製剤ドローン配送ユーザーのコメント

■ Jagaa氏(母子センター)
車での輸送は片道15分、往復で30分以上を要する。血液が到着するまでに患者の容体が悪化するケースもあり、1分1秒が極めて重要である。命を救うこと、母子を救うことは家族にとって大きな意味を持つ。ドローン配送により5人の患者が危機的状況から救われた。
また、「お礼の手紙をドローンに託せないか」と尋ねられることもある。写真を撮る市民やドローンを追いかける人の姿も見られ、社会的関心の高さがうかがえる。

■ Davaasuren氏(バヤンゴル区保健センター)
32年間血液業務に従事してきたが、「1分でも貴重」であることを日々実感している。血液は主に緊急時に使用されるが、車では間に合わないケースが少なくない。一方、ドローンは6~7分で到着し、業務負担を大幅に軽減している。
現在、4つの病院を車で巡回し、患者や子ども、ワクチンなどを搬送しているが、ドローンを手配している間に他の業務に従事できる。外科医からの評価も非常に高い。

株式会社エアロネクストについて

エアロネクストは、「人生100年時代の新しい社会インフラ」の実現を掲げ、低空域活用による価値創造を推進する企業である。独自の機体構造設計技術「4D GRAVITY®」を核に技術ライセンスおよび共同開発事業を展開。戦略子会社NEXT DELIVERYを通じて新スマート物流「SkyHub®」やドローン運航事業を推進し、地域物流の社会実装を進めている。

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